国の特別天然記念物・オオサンショウウオの卵が島根県安来市内で保護され、県をまたいだ官民の協力により人工飼育された1匹が、このほど元の川に戻されました。
全国的にも極めてまれな事例ということです。

卵が見つかったのは去年9月。
卵は100個以上がかたまりになった卵塊で、オオサンショウウオが繁殖し県の自然環境保全地域になっている安来市広瀬町内の川で水中の木に引っかかっていました。

オオサンショウウオは、オスの親が川岸の横穴の中で卵を世話する習性があり、何らかの理由で流れ出し世話を受けられなくなると100%死滅するということです。

このため、卵を発見した保護グループの代表は、貴重な卵を緊急保護するとともに、飼育できる施設を探しました。

しかし、島根県内の2施設では困難だったため、オオサンショウウオを飼育展示している鳥取県南部町の「キナルなんぶ」が受け入れを決め、施設内の冷水温管理水槽でふ化を目指し飼育が始まりました。

施設では、卵に十分酸素が行き渡るように工夫を凝らしたものの、結果的にふ化したのは1匹だけでした。

卵黄に続いて赤ムシをピンセットで与えるなど細心の注意が払われ、生存率を高めようと放流時期を遅らせて4月21日に元の川に戻したということです。

「日本オオサンショウウオの会」の前会長・桑原一司博士は「今回、頑張って1匹だけでも育てることができたのは立派な成果。今、オオサンショウウオは消滅に向かっており、この1匹を大切に育て、この川の個体群を支える1頭に育ってくれる可能性がある。野生復帰できたことはとても喜ばしい」とコメントしています。