3月に続き、5月に入ってもアメリカで銀行の破綻が続いています。顧客の預金は保護され、バイデン大統領は「金融システムは健全だ」と強調しましたが、不安はないのでしょうか。

1日、経営破綻した地方銀行のファースト・リパブリック・バンク。金融大手JPモルガン・チェースに買収されました。

記者「ニューヨーク・マンハッタンにあるこちらの店舗では、破綻の発表後も特に大きな混乱は見られず、営業を続けています」

利用客「私は資金を預けていますが、この銀行は今はJPモルガンです。預金者として、リスクについて不安はありません」

預金や資産は引き継がれ、目立った混乱は見られませんが、実は世界的金融危機につながった2008年のリーマンショック以降、最大規模の銀行破綻です。今後、金融不安は拡大するのか、専門家は。

大和総研ニューヨークリサーチセンター 矢作大祐 主任研究員
「ある程度コントロールしているところはあって、(リーマンショックが起きた)2008年ほどの危機感はまだない」

アメリカでは3月に別の銀行が破綻したばかり。今回は、このケースとは異なる点があるといいます。

大和総研ニューヨークリサーチセンター 矢作大祐 主任研究員
「(3月に破綻した)シリコンバレーバンクは問題があって破綻した。今回はシリコンバレーバンクの懸念を受けて、連鎖的に破綻した。リスクが広がったと見ることができる」

一方、破綻の連鎖の背景にあるのが歴史的インフレを抑えるため、FRB=連邦準備制度理事会が進めてきた急速な利上げの副作用です。これについては。

大和総研ニューヨークリサーチセンター 矢作大祐 主任研究員
「ほかの(国の)中央銀行も利上げをしてきた。銀行が抱えるストレスは多かれ少なかれあると思う」

ほかの国にも共通点があるというのです。アメリカの金融政策を決める会合は2日に始まりますが、FRBが金融不安にどのような姿勢を示すのか、市場が注目しています。

こうした中、バイデン大統領は。

バイデン大統領「(規制当局の)措置は金融システムが安全で健全であることを保証します」

「すべての預金者は保護され、納税者も巻き込まれていない」と強調。さらに、経営陣の責任追及と銀行への規制強化が必要だとの考えを示しています。