国土交通省OBによる民間企業への人事介入問題で、自らを副社長にするよう迫り、その後、副社長になった国交省OBが、国交省の現役職員と連絡をとっていたことがわかりました。

この問題はおととし5月、羽田空港などの空港の施設を運営する民間企業「空港施設」の取締役だった国交省OBの山口勝弘氏が社内会議で、「国交省側の意向」という趣旨の発言をして自らを副社長にするよう要求し、その翌月に副社長に就任したものです。さらに去年12月には、元国交省事務次官の本田勝氏が「空港施設」の社長らに対し、山口氏を次の社長にするよう要求したこともわかっています。

「空港施設」はこの問題について、外部の専門家による「独立検証委員会」に調査を依頼し、検証委員会がきょう報告書を発表しました。

報告書によりますと、今月3日に退任した山口氏が使用していたパソコンの消去済みデータを復元した結果、山口氏が国交省の現役の職員とやりとりをしていたことを示すメールが5件確認されました。うち1件は、山口氏が副社長に就任した翌日のおととし6月2日、自身の秘書に対し山口氏が国交省航空局長と東京航空局長に15分ほどの面会を、その日にとりつけるよう指示していました。

また、国交省の大臣官房や航空局の現役職員から、職員の入省年次や役職がまとめられたリストや、公開前の人事異動情報をメールで受け取っていたことも確認されました。さらに山口氏は国交省の元事務次官である本田氏や小幡政人氏とも連絡をとりあっていたこともわかりました。

国家公務員法にはOBに対する規制はありませんが、省庁による天下りの斡旋や、現役職員に対し利害関係のある企業への再就職の要求などを禁じています。

国交省はこれまで幹部職員に対する調査の結果として、「現役職員による空港施設への再就職のあっせんや、OBから国交省に対する働きかけは確認できなかった」として、現役職員の関与は確認できていないとしています。

今回、山口氏と現役職員とのやりとりが確認されたことで、国交省の対応が注目されます。