14年間、撮れなかったカットがようやく…

(生物生態写真映像作家 難波由城雄さん)
「撮影でいちばん難しかったったのがバルーニング」
(妻・康子さんのナレーション)
「子グモたちは風任せの旅をします。この行動をバルーニングといいます」

「クモが生まれて1週間ぐらいで空に飛んで分散していく空中飛行、このシーンが14年間かかって撮れなかったカットがようやく、去年の6月に撮影できた。それで、すべてのパーツ(クモの生態の映像)がそろった」

このほか、クモの捕食シーンなど貴重な映像も。

5年前、70歳の時にパソコンでの動画編集を覚えた難波さん。妻の康子さんがナレーションと選曲を担当し、夫婦で作りあげた作品です。
(生物生態写真映像作家 難波由城雄さん)
「クモの獲物の捕り方とか獲物を捕るときの糸の仕組みとか、クモでみんなちがう。ぜひ動く映像で解明していきたい」

難波さんは、引き続きクモの撮影と生態調査を続け、ゆくゆくはアメリカにあるクモの博物館で、講演などもしていきたいということです。
【解説】
今回、難波さんは日本科学技術振興財団などが主催する映像祭で文部科学大臣賞を受賞したのですが、他の受賞3作品は、すべて放送局などが制作したもので、個人での受賞者は、難波さんだけだったということです。

その難波さんですが、実は左目が生まれつき見えないそうです。そんな中「カメラのレンズを通して見える世界」と「自分が見ている世界が同じ」であったこと、さらにはクモの母親の卵を守る姿に母性愛を感じ、感動してクモをカメラで撮影することに夢中になったんだそうです。

また、生き物のすばらさや、自身の生き方について、小学校などに出向き「出前授業」を行っているとのことです。