メダカの細胞を研究…注目は“ZNT”

画像提供:京都大学

京都大学のグループではこれまで、「細胞内の小胞体やゴルジ体に局在するZNT(亜鉛を運ぶ複合体)が、いくつかの亜鉛酵素に亜鉛を供給する役割を果たす」ことを報告してきました。今回、合同研究チームが、その研究の過程で生まれたZNTを持たないメダカを研究したところ、ZNTを持つ野生のメダカよりも色調が薄く、体内に含まれるメラニン量が少ないことが分かったということです。

Wagatsuma, et al., Communications Biology, 2023

さらに、メラノーマ(皮膚に色調を与える細胞が癌化したもの)を使った研究で、メラニンの生合成に働く酵素・チロシナーゼ関連タンパク質1の発現の有無が、ZNTの有無によって制御されることが発見されました。

以上の研究結果などから、従来、銅が結合して機能すると考えられてきたチロシナーゼ関連タンパク質1の発現には、ZNTが輸送する亜鉛が不可欠であることが分かったということです。

新たな化粧品の開発に期待

多くの美白化粧品には、チロシナーゼの銅を不活性化させる成分が含まれています。研究チームは、今後、銅と同様のアプローチで亜鉛を不活性化させる成分を活用することで、メラニンの生成を抑えることができる、新たな化粧品の開発につながるのではとしています。

また、メラニンの生成は養殖魚の異変などとも関連するため、黒変が問題となる食材料の改良などにも活用が期待されます。