近年、岡山市中心部にじわじわと増えているのが、高品質の食材や輸入食品を扱う「高級スーパー」です。物価高で生活費を切り詰める人も多い中、なぜ需要が高まっているのでしょうか?

岡山県産のいちごを使った1620円のジャムや、ぎっしりりんごが詰まった972円のアップルパイなど、ワンランク上の商品が並ぶ老舗スーパー「紀ノ国屋」。今年3月の天満屋岡山店へのオープン時には長蛇の列が。

(買い物客)「待ちに待ったって感じですね、きょう、かなりの人なので早く来たけどなかなか」

岡山市中心部で相次ぐ高級スーパーの進出。市内には、岡山高島屋に10年以上前から明治屋が入っていましたが、2020年、JR岡山駅2階のさんすて岡山に、業界最大手といわれる「成城石井」が、去年9月には、中四国初出店の「DEAN&DELUCA」が、そして今年3月、天満屋岡山店に紀ノ国屋がオープンしたというわけです。物価高騰で食費を切り詰める人も多い中、紀ノ国屋では3月の売り上げは見込みの136%だったということです。なぜ高級スーパーに人が集まるのでしょうか。

(スタジオ)岡山でも出店が相次いでいる高級スーパー。紀ノ国屋は、もともと関東を中心に展開し、現在、関東に42店舗あります。それが3年ほど前から、京都、広島など、関西や中国地方への展開も始めています。短期間の特別販売会の際、岡山では紀ノ国屋でしか買えないオリジナルのパンの需要が高かったそうです。

岡山大学でマーケティング論が専門の日高教授によりますと、
●高級スーパーはライフスタイルの憧れで「憧れを売る」場所、ご褒美的な場所という位置づけ
●高級・高額なイメージの強い百貨店だと、気おくれしてしまうという人も、スーパーなら気軽にふらっと寄ることができる
●年代問わずステータス感を感じられる場所として需要が高い
●岡山県は交通の結節点であること、大都市圏ほどではないが人口規模も大きいため、店側も顧客の集客を狙いやすい

などが理由と考えられるそうです。

(※参考)実際、「成城石井」を誘致したさんすて岡山の担当者は、人の行き来が多いので、トレンドの発信につながるのではないかと考えたと話しています。

また紀ノ国屋では、飽きさせない売り場作りを行い、旬の商品の提案やSNSなどを通して情報発信顧客の定着化を行っています。

日高教授はインターネットもある中で、「店舗での消費体験の向上」がカギ。品ぞろえを豊富に、ワクワク感を持たせられるかなどがカギと話しています。