今年は関東大震災の発生から100年の節目の年です。地震による被害の一方、当時、数千人の朝鮮人らが虐殺される事件が起きましたが、千葉県では今から25年前、地元住民の証言や記録をもとに6人の遺体が掘り起こされました。「私は骨を洗った」。住民による貴重な証言です。
高橋隆亮さん
「この柿の木の下、この辺りが地割れした」
高橋隆亮さん(79)は、幼少期に父や祖父から震災当時の様子を聞かされてきました。
1923年9月1日に起きた関東大震災では、10万5000人を超える死者と行方不明者が出ました。高橋さんが聞いたのは、地震による被害だけではありませんでした。
高橋隆亮さん
「猟銃だとか持ってきた、みんな。鎌やクワだけじゃなくて、武器を持っていた。流言飛語によって村人が集まって、『やっちゃえ』というのでやった」
矛先が向けられたのは朝鮮人です。「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマが広がり、それを信じた住民たちが自警団を作り、地域の区長だった高橋さんの祖父・吉三郎さんの家に集まったといいます。
高橋隆亮さん
「これ、おじいさんのね」
当時の様子を記録した吉三郎さんの手帳。「大正12年9月1日 大震起こる」の文字が。そして…
吉三郎さんの手帳より
「日本刀 鎗 短銃」
「鳥打銃等ヲ持参シ」
自警団が1人の朝鮮人の男性と遭遇したことが記されていますが…
高橋隆亮さん
「殺しちゃった、村中総出で。袋叩きにしちゃったと」
当初、朝鮮人の男性を殺した人たちに罪の意識はなく、「功績」として捉えていたといいます。
高橋隆亮さん
「初めは手柄話だった。『俺の一撃が効いたんだ』とか(自警団の中で)自慢してた。『犯罪だ』と感じるのは、ちょっと遅くなってからじゃないか」
関東大震災では、デマによって全国で朝鮮人や中国人、地方出身の日本人らも虐殺され、その数は数千人に上るとみる研究者もいます。
遺体が掘り起こされた地域もあります。今から25年前、千葉県八千代市では、地元住民の証言や記録をもとに掘り起こされました。
吉川清さん
「頭の骨はなく、大腿骨とかしっかりした骨だけが残っていた」
長年、千葉県内で起きた朝鮮人虐殺事件について調査を行っている吉川清さん(90)。この場所で6人の遺体が見つかり、吉川さんは検死に立ち会いました。
住民の中では「過去のつらい出来事をあえて今取り上げる必要があるのか」という議論があったといいます。見つかった骨を洗ったという男性が匿名を条件に当時の様子を明かしました。
「このぐらいの骨。どこの部分だかわからないけど。3本か4本くらい洗った。この辺で俺たちで気持ちを和らげようよと。あのときは手を合わせて。今でもそれを思うと涙が出る。ああいうことは二度とないことを祈って」
震災当時の記録や遺体が見つかるケースはほとんどなく、今も多くの朝鮮の人たちの行方はわかっていません。
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