ロシアのウクライナ侵攻などをめぐるアメリカの機密情報が、SNS上に流出したとされる問題で、アメリカ政府高官は10日、「深刻に受け止めている」と懸念を示しました。

米国家安全保障会議(NSC)カービー戦略広報調整官
「問題を深刻に受け止めている。こうした文書が公にされるべきではない」

アメリカメディアによりますと、SNSに流出したのは、アメリカの機密情報をまとめたとみられる文書をカメラで撮影したものです。

多くはロシアのウクライナ侵攻をめぐる軍事機密で、例えば「3月1日付けの戦況」と記された文書には、ウクライナとロシアの軍の態勢やNATO=北大西洋条約機構の武器供与の見通しなどが細かくまとめられています。

また、2月28日付の文書では、ウクライナの防空システムの主力兵器であるS300の弾薬が、5月3日までに底をつくとの分析が書かれています。

複数の文書には「トップシークレット=最高機密」と書かれているほか、外国と共有しないことを示す印が書かれた書類もあり、アメリカから漏れた可能性が指摘されています。ただ、不自然な点もあります。

カービー戦略広報調整官
「元々の記載から情報が書き換えられたものが投稿されているケースも見られる」

例えば、ロシア側の戦闘での死者数について流出した文書には、1万6000人から1万7500人とアメリカ政府や研究機関の推計よりもはるかに少ない数字が書かれていて、アメリカメディアは、ロシア側が情報操作しようとした可能性を指摘しています。

一方、文書には、アメリカが同盟国に対して諜報活動を行っていたとみられる内容もありました。

例えば、イスラエルの情報機関モサドが、イスラエル政府が提案した司法制度改革に反対するよう市民に働きかけたとの記述があったということです。

また、ウクライナに対する砲弾の供与をめぐって、韓国政府内の通信を傍受していたことをうかがわせる内容もあったと報じられています。

これについてアメリカ政府は。

カービー戦略広報調整官
「アメリカ政府当局者はこの数日、関連する同盟国や友好国に対して、非常に高いレベルで連絡を取っているとだけ申し上げます」

アメリカ政府は、SNS上のデータを消去する努力を進めるとともに、司法省に捜査を要請し、流出の経緯を調べています。