近年、景気が低迷し、給料も上がらない「安いニッポン」が問題となっています。この状態が続くと私たちの生活が苦しいままになると懸念されていますが、いままで「物価の優等生」と呼ばれていた特売品がその殻を破ろうとしているんです。
静岡県富士宮市で和菓子から洋菓子までさまざまなメニューを販売している老舗の製菓店。ほとんどの商品に使われている原料は卵。品質にはこだわりがあります。
<新月堂 佐野伸一店主>
「黄身の色が違うので、焼きあがった時の仕上がりの色が違う」
お菓子作りに欠かせないこの卵が、いま世界から注目されています。富士宮市にある「あさぎり宝山ファーム」では、約9万羽のニワトリを育てています。このファームでは2022年9月から新しい飼育方法を導入しました。
<あさぎり宝山ファーム 福﨑正展社長>
「こちらが鳥小屋になります」
Q.普通の鶏舎のイメージと違いますが?
「日本国内では非常に珍しいタイプの養鶏のシステム。専門用語で言うと『エイビアリー』という。動物福祉『アニマルウェルフェア』に対応したニワトリたちがストレスなく生活ができる美味しい卵を作る上では、最適な養鶏のシステム」
一般的な鶏舎とは違い、一羽一羽が自由に動き回ることができるストレスフリーの施設になっています。また、本社が焼津ということでエサにも特徴があります。
<あさぎり宝山ファーム 福﨑正展社長>
「こちらがニワトリのエサ。自家配合のエサで、実は焼津の鰹節をエサに配合しています。鰹節を入れることで、生臭さがなくスッキリした味で、なおかつコクのある美味しい卵になる」
飼育環境が良く、食べる物、飲む物の質が良い国産の卵は、生でも安心して食べられるとして海外での人気が高まっているのです。
殻付き卵の輸出量の合計は年々増加していて、2022年は4年前に比べると約5倍となっています。あさぎり宝山ファームでも海外への輸出を検討しています。
<あさぎり宝山ファーム 福﨑正展社長>
「香港・台湾・シンガポールの近場をはじめとして、アメリカ本土まで視野に入れていて、先々はヨーロッパまで広げていきたい」
輸出を望む背景にあるのは卵の価格の問題です。いま、日本では鳥インフルエンザの影響で卵が不足し、価格は急騰していて、国産卵の平均価格は5年前と比べ、145円値上がりしています。しかし、この価格の高騰はあくまで一時的なものと見られています。
そもそも、長年「物価の優等生」などと安売りされてきた卵の価格は、生産者から見れば、適正な金額といえるものではなかったのです。
これまでの安売り品が海外で高く売れるかもしれない。卵の輸出は「安いニッポン」から「稼げるニッポン」へと変化を遂げる可能性を秘めています。
<あさぎり宝山ファーム 福﨑正展社長>
「スムーズにいけば、今年の夏辺りから、具体的に出荷したい」
<井手春希キャスター>
海外で国産卵の人気が上がるのには理由があります。あさぎり宝山ファームの福﨑正展社長によりますと、外国産の卵はニワトリの飲んでいる水の安全性に問題で生で食べることができないとのことです。そのため、生で食べられるほど衛生的で品質の良い国産の卵は国内よりも高く売れるんだそうです。
安売りの商品が増えることは一時的にはいいことですが、長い目で見ると適正価格で売れるものを増やすということが私たちの生活をより豊かにするカギとなってきます。
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