コロナ対策も4月から新たな段階に入っています。苦労が多かったエンターテインメントの世界にも明るい兆しです。
(御園座スタッフ)
「大変長らくお待たせいたしました。開場でございます」
4月1日、名古屋市中区の御園座で始まった中村勘九郎・中村七之助さんらが出演する「陽春花形歌舞伎」。その会場に入っていく男性2人、実は。

「『大向こう』といいまして、かけ声をかけるグループ」
今枝増笑門(いまえだますえもん)さんと渡邉和夫(わたなべ・かずお)さん。2人が言う「大向こう」というのは…
「中村屋!」
「大向こう」とは、歌舞伎の公演中に舞台に向かって叫ぶ、屋号などのかけ声のこと。演技の見せ場などを盛り上げる歌舞伎ならではの伝統文化です。今枝さんと渡邉さんは、歌舞伎の愛好家でつくる御園座公認の大向こうの団体、「八栄会」のメンバーです。

Q「大向こう歴は?」
(八栄会 渡邉和夫さん)
「私は40年くらい。(今枝さんは)『三度の飯より好き』」

二人ともこの道20年以上。「大向こう」は歌舞伎にとってはなくてはならない存在なのです。
(八栄会 渡邉和夫さん)
「本当に久しぶり。歌舞伎本公演としては3年半ぶり」
新型コロナ感染対策のため、御園座でも「大向こう」は禁止に。今回の公演で3年半ぶりにようやく解禁です。
(2人)
「御園座!待ってました!」
帰ってきた「大向こう」。昼公演では、中村七之助さんが1人7役を演じ、魔法のような早替わりが見所です。ここでも…
(2人)
「中村屋!」
威勢の良いかけ声で会場を盛り上げます。そして…
(2人)
「中村屋!大当たり!」

幕が下りるまで声をかけ続けました。3年半ぶりの「大向こう」解禁に観客は…
(観客)
「すごく活気が出て良かったと思う」
「振り返っちゃいました。(大向こうは)絶対に必要だと思う。雰囲気と盛り上がりが違う」
役目を終えた2人は…
(八栄会 今枝増笑門さん)
「本当に良かったという気持ち。『待ってました』『大当たり』っていう…」
(八栄会 渡邉和夫さん)
「客席の方からも声が飛んでいましたね。世の中もやっとこれで(本来の姿に)近づきました」