秋山さんは、当時、広響の印象をこう話しています。

秋山和慶 さん
「いい意味でのプロ根性をしっかり持って、この人たちなら、ちゃんとそういう方向で音楽作りをもっていってくれそうだなという予感がしたので。直感」

レパートリーの拡充・表現力の向上に力を注ぎ、日本でもトップレベルのオーケストラに育てあげました。

秋山和慶 さん
「もう、どこに出しても恥ずかしくないレベルに達したということですね、広響も」

意欲的な演奏を届ける一方で、2005年に累積赤字はおよそ2億円にまでふくらみます。海外公演を中止したり、寄付を呼びかけたりして、経費の削減を進めた結果、現在は黒字に転じています。

在籍40年の団員は、成長を素直に喜びます。

広響 バイオリン奏者 盛田恵 さん
「広響の進化は、すごいですね。わたしが在籍していた40年で今、ほとんどメンバーも違うし」

広響 元オーボエ奏者 柴滋 さん
「あたたかくて、熱くて、音を大事に奏でているオーケストラだと思います、今、こんなに大きくなって立派になって、これからのわたしの誇りになる。自慢になるオーケストラです。これからも育ってほしい」

広響はことし創立60周年を迎えます。ライブラリーでは、これまで演奏してきた楽譜など、およそ3000曲が管理されています。

広響 ライブラリアン 松田弘美 さん
「演奏に集中できるように楽譜を準備するのが、わたしたちの仕事なので」

演奏に必要な情報を楽譜に書き込んだり、修正したりと松田さんの仕事は多岐に渡ります。

ライブラリアン 松田弘美 さん
「広響の初めての会報、広島市響時代のこれ、ごらんになったことありますか?」

松田さんのところには、広響にまつわる貴重な資料が集まってきています。新たにわかったこと、残しておきたい言葉などを編集し、60周年記念誌「KANREKI ~ 60th Anniversary」を発行する予定です。

広島交響楽団 ライブラリアン 松田弘美 さん
「先輩方のお気持ちがちゃんとつながっていくようにもう1回、広響をこんな団体なんだよということを再認識していただいて、さらなる応援をいただけるとありがたいなと」

広島交響楽団 下野竜也 音楽総監督
「焼野原から75年、草木も生えないと言われたころからオーケストラを作ろうというエネルギーたるや、もうかなわないと。尊敬のひとこと。感謝ですよ。自分が今、いちおう広響の指揮者になっていますけど、70年・80年・100年とつながるためには、ここで崩すわけにはいかない」