サンゴの生息地として知られる日南市の海で、変わった名前の生き物の群集が見つかりました。その生き物の名前が「ハナイソギンチャクモドキ」。今回、国内最大規模の群生が見つかったということなんですが、一体どんな生物なのでしょうか。

100種類を超えるサンゴが生息する、日南市南郷町沖の海域。

にぎやかな海底を進んでいくと苔むした岩のような塊が見えてきました。


近づいて見てみると、柔らかそうなひだの中央に、ピンク色の口がいくつも海中に飛び出した姿をしています。


これが、ハナイソギンチャクモドキです。

群集を発見したダイバーの福田道喜さんははじめは驚いたといいます。

(ハナイソギンチャクモドキ群集を発見・福田道喜さん)「きれいだった、日が差してどれくらいあるんだろうと思いながら、後ろ髪ひかれながら帰りましたね」

サンゴとイソギンチャクの中間の特徴を持ち暖かい海に広く生息するハナイソギンチャクモドキ。

宮崎大学に調査を依頼した結果、この群集は1500平方メートルほどの超巨大群集であることが分かりました。

(宮崎大学海洋生物環境学科・深見裕伸 教授)「5メートルくらいの群集はけっこうちょこちょこあるんですけど、50メートルくらい広がる群集は初めて見たので、日本で最大級じゃないでしょうかね」


ハナイソギンチャクモドキは、自分で動くことはできず、骨も持たない構造の海洋生物。

近くにいる個体同士は遺伝子が全く同じ「クローン」で増えているとされますが、専門家も今回の発見には首をかしげます。

(宮崎大学海洋生物環境学科・深見裕伸教授)「(この大きさまで)なんで増えたんでしょうね、まったくわからないけれど、それがわかればいいと思います。宮崎にも珍しい場所がありますよというもののひとつになればいいかなと思います」


国内で研究している人はほぼおらず、謎に包まれているハナイソギンチャクモドキの超巨大群集。

ミステリアスな発見は、宮崎の海の、新たな名物になるかもしれません。