老朽化に伴い、今年度中に解体・撤去されることになっていた宮城県大崎市岩出山のSLについて市はいったん、計画を白紙に戻すことになりました。
大崎市岩出山の城山公園。ここに地域住民らに親しまれているSLがあります。1939年製造の「C58形」=「シゴハチ」です。

市に保存を訴えてきた市民団体の代表を務める岡本一路さんは、幼いころから慣れ親しんだSLは「地域の宝」だと話します。
岩出山城山SL保存有志の会 岡本一路代表:
「おじいちゃん、おばあちゃんの時代から受け継がれて来た地域の宝で、残したい景色」

「シゴハチ」は陸羽東線を走ってきました。その役目を終えたあと1973年、当時の国鉄から旧岩出山町に贈られました。

しかし、設置から50年が経過。車体は、塗装などが剥げ落ちさびが目立つなど老朽化が進んでいて、大崎市は2020年に「シゴハチ」を解体・撤去する方針を決めました。

これに対し、地元住民らでつくる2つの市民団体が去年5月、保存を求める2155人分の署名を市に提出。

これを踏まえ、市は今年度予算に計上した解体工事費およそ2200万円を減額する補正予算案を3月開かれた市議会に追加提出し、可決されました。解体・撤去の方針はいったん、白紙に戻りました。
伊藤康志大崎市長:
「皆さんの思いが、継続性が持てるのかその辺を内部でもう一度検討して頂きたい。真摯に保存する会の方々と話し合いを進めていきたい」

年度内での解体を免れたことについて、市民団体代表の岡本さんは・・・。
岩出山城山SL保存有志の会 岡本一路代表:
「問題はこれで終わったと思っておらず、私たちが今までやってきた署名などの取り組みは一人ひとりの思いだったので、一つの大きな輪にしていきたい」

市民団体は継続的にSLを維持管理するため財源や態勢を確保するよう求めていて、市では、今年8月までに改めて方針を決めるとしています。
岩出山城山SL保存有志の会 岡本一路代表:
「NPO法人化や一般社団法人化を目標にこれからも取り組み、永続的な担保になれば」

SL「シゴハチ」を後世に残せるのか、保存有志の会は地域団体などに協賛を募りながら保存方法を検討していくことにしています。
