山口県下松市に住む古谷ニーナさん28歳。国にとどまる弟は軍の一員として前線に立ちます。ロシアによる軍事侵攻が始まり、きょうで1年。何を思うのでしょうか?

古谷ニーナさん:「(ロシアとの関係は)兄弟の国ではなく、一般的な関係は戦争です」

先月、周南市で開かれた講演会。


ウクライナ出身のニーナさんは、2015年から留学した山口大学で夫と出会い、大学を卒業後、2017年に結婚。いまは3歳の娘と0歳の息子の2人を育てています。

ロシアによる侵攻が始まり、去年8月、母・スヴィトラーナさんが戦火を逃れ、身を寄せました。

古谷ニーナさん:「日本料理の方が得意です。なので、子どもの時食べたウクライナの味にしたいときは、『お母さんどうやってるの』ってよく聞いています」

3世代での生活は、幸せそのものに見えます。

母国ウクライナの料理を食べながら過ごす団らんの時間。午後からは市内の公園に出かけました。日曜日の昼下がり、シャボン玉のパフォーマンスもあり、家族に笑顔があふれます。

ニーナさん:「見てほら!サーシャだ!」

ビデオ通話の相手は、ウクライナにとどまる弟のサーシャさんと父です。7時間の時差があるものの、毎日少なくとも2回はその日の出来事などを話しています。一時、連絡が取れなくなったことがあり、胸が潰れる思いをしました。

23歳の弟サーシャさんは、軍の一員として戦争の最前線に立っています。
去年夏ごろ、ロシア軍の攻撃にさらされ、左の肩や腕に、鉄製の破片が刺さり、骨がむきだしになるほどでした。骨折に加え神経が傷つき、一時手の指が動かせなくなりました。

家族が危険な目に遭い、母国が踏みにじられる悲惨な現実に、ニーナさんは大きな怒りと悲しみを感じています。

古谷ニーナさん:「(私は)日本にいますし、子どももいますし、でも、もう全部やめて、自分も銃などを持って、みんなと戦いたかったですね。私もここでただニュースを見れない気持ちもありました」

今起きている戦争に限らず、両国間にはクリミア半島などの領土を巡る長い争いの歴史があります。

古谷ニーナさん:「ロシアはなるべく、多くのウクライナ人をなくそうとしていますので、決して諦めることはないですね。(ウクライナ側も)諦めたら、簡単に平和になったら、もう国なくなるし、アイデンティティーもなくなる」

日本では当たり前のようにおう歌している平和や自由。ニーナさんはそれを、簡単なものではないと実感しています。

古谷ニーナさん:「平和になるのは簡単ではないので、今回は残念ながら武器を使って、そんな言い方ダメかもしれないですけど、倒さないとダメなので、難しい状態です。言葉を選びながら話していますが、まぁ一番強い気持ちは、ロシア人を1人も許せない」


ウクライナ侵攻の出口は見えないままです。