サクッとあがった「キスの天ぷら」にジューシーなローストビーフ。食欲をそそる弁当は特別な人のためにつくられている。“料理人”は高校3年生。これは卒業前の「謝恩食事会」の一幕だ。調理技術を披露するただの弁当の試食会にあらず、親子の絆を強める企画だった―。
◆生徒がメニューを考案、特別な人に捧げる「弁当」
取材に訪れたのは、福岡県北部の北九州市。私立・星琳高校(八幡西区)の調理室だ。食物調理科の3年生がキビキビと動き回っていた。
池尻キャスター「何をつくっているんですか?」
生徒「ハンバーグです」
池尻キャスター「ポイントは?」
生徒「もちろん味もですが、愛情です!」
保護者のために作るのはデザート付きの特製弁当。おかずの品目は多岐に渡る。生徒たちが中心となってメニューを考えた。
「イチゴ大福の餅を作っています」「おいしいイチゴ大福を食べさせたいな」「イチゴムースタルトを作っています」「おいしくな~れ」
今まさに感謝の意を伝えようとしている「親」は生徒にどのように映っているのだろうか。
生徒「どんなことをしても自分の味方でいてくれる人です、料理で恩返しができたら」
◆3年間で培った知識と技術を結集
調理の様子は保護者にも公開された。
池尻キャスター「我が子が料理している姿は?」
保護者「もう泣きそうです」
保護者「今までコロナ禍でいろいろなことがあった中で、初めて子供たちが調理している姿、それも3年生の卒業前でとても楽しみにしてきました」
調理開始から約2時間、ちょっとしたハプニングが起きていた。
生徒「ねぇーやめてよ!」
女子生徒がフライパンで肉に火を通している最中に、別の生徒がネギを入れる。
「ちょっと待って待って!火が通ってから」
完成披露の時間が迫り“焦り”がみえたようだ。生徒たちは急ピッチで盛り付けに移った。生徒一人ひとりの思いが詰まった特製弁当の完成だ。黒い箱に6つの仕切り。そこに3年間で培った知識と技術が結集していた。
◆みじん切りの練習はいつの日か、万感の思いで「実食」
生徒「3年間この環境で過ごせたのは、家族や先生方の支えがあったからだと思います。その3年間の成長をお見せできたらと思っていますので、どうぞご賞味ください」
試食会が始まった。長机に保護者が座り、弁当が運ばれてくる。親のすぐ隣で「我が子」が弁当のポイントを解説する。
生徒「味付けがやっぱり大変やった」
母親「もぉ~食べれん、もったいなくて」
箸を口に運んですぐにこぼれた「おいしい」は心からの声だった。
母親「1年生の時にタマネギのみじん切りを練習していたのを思い出しました。こんなことができるようになったんだと、じーんとして」
◆「このお弁当が食べられてよかった」
贈り物は弁当だけではない。箸袋の裏には保護者へ宛てた感謝のメッセージが添えられていた。
「18年間育ててくれて、愛情を毎日ありがとう」
母親「ここまで成長してくれて本当にうれしい、感謝しかないですね」
別の生徒の箸袋にはこう記されていた。
「朝起こしてくれたり、学校まで送ってくれて、やめそうになった時も支えてくれてありがとう」
母親「ちょっと涙が出そうになって、ダメかなという時期もあったけど、本人が頑張ったので、このお弁当が食べられてよかったです」
新型コロナで大変な思いをした3年間。生徒たちはいつも温かく見守ってくれた保護者に成長した姿を見せるとともに、心から感謝の気持ちを伝えた。食物調理科の65人は、ほとんどが調理師か調理師学校に進む予定だ。
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