バレーボール男子日本代表の西田有志(23、ジェイテクト)を独占インタビュー。イタリア、セリエAから1年で日本に復帰を決めた理由や、パリ五輪への思い、昨年末に結婚した女子日本代表主将の古賀紗理那(26、NEC)との新婚生活を聞いた。
Q.去年イタリアでプレーし、1シーズンでジェイテクトに復帰
西田選手:
イタリアで1シーズンやらせてもらって、1シーズン目でチームを降格させてしまい、なかなか次に踏み込むのがちょっと・・・。前のシーズンが重すぎたなというのがあり、もう1回リセットして、というのが自分の中で一番あって。色々オファーはいただいたんですけど、やっぱりどうしてもそこが引っかかってしまっている自分がいたので。1回日本で、という事を考えたのが今シーズンかなと思います。
Q.日本に戻ってきたからこそ得られるものは?
西田選手:
今現状の話をすると、3週間体調を崩していて、それが海外であったらクビを切られるので、そこは唯一の救いだったなとすごく感じましたね。正直色々想像した時に、それを海外でやったら今年もうバレーボールをしていない状態になってたかもしれないので。そこは逆にタイミングよかったなという風に感じましたし、日本でやるのもトッププレーヤーの選手がたくさんいて、日本のバレー自体もすごくレベルが上がっていると感じているので、その選手たちと対峙できるというのもそれはそれですごく楽しいですね。
西田は去年10月のVリーグ開幕2週間前から39℃近い高熱に悩まされ、シーズン序盤から3週間近く試合を欠場。病院で「感染症」と診断されるが、4度検査を受けても病名の特定はされなかったという。現在は症状がなく熱も下がっているため、復帰に至っている。

Q.去年12月31日に古賀選手との結婚を発表。古賀選手のどんなところに惹かれた?
西田選手:
全体というのが当たり前なんですけど、最初見た時、バレーボールをしている姿がいいなと思いましたし、僕は最初からバレーボールをやっている方(と結婚)というのを決めていたので。こういう生活を理解してくれる方って中々難しいと思うし、どうしても自分の価値観じゃないですけど、そういう考えがあったので。バレーボールを貪欲にやってる姿も好きですし、女性としてもしっかりしてますし。しっかりしてるって僕が言うのもおかしいですけど(笑)普通にしっかりしている方なので、そういうところに惹かれましたね。
Q.ケンカしたことは?
西田選手:
全然ないですね。ケンカにならないですね。俺がこうしたら直るんじゃね?という点が多いんですよ。向こうが気になった事を言ってくれるんで「じゃあ俺がそうする」という話をしたり。1回僕が体調良くない時に、部屋を散らかしててそれでめっちゃ怒られましたけど。それは僕が単純に掃除しとけばよかっただけなんで。それくらいですかね?ケンカは1回もしてないですね。
Q.そういうところもちゃんと注意してくれる?
西田選手:
だから普通にしっかりしてる方ですよ。でも姉さん女房と言われてますけど、僕もしっかりしてますからね、自分で言うけど(笑)なんか俺がやんちゃで注意されてという訳じゃないですからね。バレーとプライベートは全然違いますから(笑)

Q.結婚することでプラスになったことは?
西田選手:
それこそ独り身じゃなくなったというのがあるので。プレースタイルは何も変わらないですけど、無理し続けることに対して、一人のときはいくらでもプッシュしてましたけど。「体調悪いのにバレーし続けるのはどうなの?」って体調崩してた時もそういう話をしていましたし「ちゃんと病院行った方がいいんじゃない?」って。僕は病院に行くのがあまり好きじゃないので、そういう風に言ってくれる人がいると自分の中でブレーキをかけられたり。あの時、明らかにおかしいのは自分でも自覚してたんですけど、自分の中で止める気は無かったんですよね。だけど、そういう風に言ってくれたおかげで今があると思うので、すごく感謝しています。心境の変化としてそこは変わったところかなと。一人だけの体じゃないし、一人だけの人生じゃなくなったので。
ただがむしゃらに痛い所があってもやっていたのが前までの僕でしたけど。(古賀が)ブレーキ役みたいな感じで近くにいてくれることはすごく嬉しいですし、自分が逆にそういう相談を受けた時もそういう事ができるというのはいい関係なのかな、と思いますね。

Q.一人だけの体じゃないし、一人だけの人生じゃないっていう言葉、いいですね。
西田選手:
それはずっと話していて、一緒のバレーボーラーだから分かってくれる事、分かる事だと思うので、本当に結婚してよかったなというのはすごく思います。これからどういう風に進んでいくか自分たちも楽しみですし、難しいことがあったとしても二人でいれば乗り越えることはたくさんあるかなと感じているので。まぁめっちゃ仲いいんでね(笑)そういう風にすごく感じますね。
Q.タイミング的に2024年パリ五輪を前に結婚というのは2人の覚悟の表れ?
西田選手:
結婚する前にその話はしてましたし、やっぱ自分たちが目指しているのはオリンピックなので。そこに全力で挑むということはそうですけど、一人で戦うことじゃなくなった。自分の中ですごく強みだと思ってますし、2人で一つずつ乗り越えていく感じではあるので、正直楽しみな部分はたくさんあるなと思いますね。
Q.オリンピックに向けて
西田選手:
正直、オリンピックに出られるか出られないかというのは来年のネーションズリーグまで(分からない)かもしれないですけど、お互いが味方であり続けることは絶対変わらないので。だからより結果に対してトライすることはできるし、それはお互い話している事なので。2人ともいい結果を求め続け、しっかりと自分たちの中で足並みそろえてプッシュし続けようかと思います。
Q.普段の過ごし方
西田選手:
普段すか?「どこ買い物いく?」とか「これ可愛いから買いにいこうよ」みたいな。二人でよく買い物に行ったり、ドラマとかを一緒によく見てますね。
趣味とか服装も似たような感じが好きなので、そういうので「これ可愛くない?」とか(会話)しますね。バレーの話はほぼしないですね。試合の土日とかではめっちゃしますけど、オフの日とかは全然しないですね。
Q.バレーの話をしない方がいい?
西田選手:
息抜きになるんですかね。普通にリラックスしてる状態ではあるので、バレーの話をし続けてもちょっとしんどくなるので。寿司食いに行ったらやけに張り合ってくるっていう戦いはよくしますけど(笑)どっちが食えるか?みたいな。明らかに絶対俺やろ!というのは分かっているんですけど。それが楽しいから僕も一緒にゲームをしたり。
とりあえずプライベートはプライベートで楽しみますが、生業のバレーボールを二人でおろそかにならないよう努力するという事は決めているので、2人ともいい結果になるよう頑張っていきたいと思います。
■西田有志(にしだ・ゆうじ)
2000年1月30日生まれ、23歳。三重県出身、186cm82kg。海星高校~ジェイテクト~Vibo Valentia(イタリア・セリエA、2021~)~ジェイテクト(2022~)。Vリーグ最優秀新人賞(2018-2019)、最高殊勲選手賞(2019-2020)、得点王(2019-2020)、サーブ賞(2019-2020)を獲得。2018年5月に日本代表デビュー、2019W杯でベストサーバー賞受賞、ベストオポジットに選出。2022世界バレー12位。