複雑な家庭環境の裁判員裁判で何度も判決…
細野裁判長は2021年4月に富山地裁部総括判事となって以来、複雑な家庭環境で起きた事件の裁判員裁判で何度も判決を言い渡していました。

2021年4月の判決では、その前年、高岡市の自宅で82歳の夫の首にナイロン袋を巻いて締め付け殺害した79歳の妻に対し、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。弁護側は介護疲れが犯行動機と主張しましたが、「介護は過酷なものではなかった」と判断。判決のあと被告に対し「刑期を終えた後はさらに高齢になっています。今後は地域の人たちに早めに相談してください」と語りかけました。
2021年10月の判決では、その前年、富山市の自宅で71歳の妻の首をロープで絞めて殺害した71歳の夫に対し、懲役3年、執行猶予5年を言い渡しました。認知症だった妻の食事や入浴の世話が「過酷だった」と認め、「肉体的・精神的な疲労が大きかった」としたことや、がんを再発した妻の将来を悲観したという犯行動機について「妻への愛情を前提にしていた」として「動機の悪質性が相当低い」と判断していました。
2022年12月の判決では、その前年、高岡市の自宅で介護中の84歳の母親を殺害した息子の56歳の男に対し、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の判決。母親を楽にしてあげたかったとする犯行動機について「酌むべき余地がないとは言えない」と判断。被告の精神障害の影響を考慮し、自首を認めて減刑していました。
今回は、統合失調症の兄をASDの弟を持つ家庭で起きた事件。細野裁判長が言い渡した懲役11年の実刑判決に対し、被告の弁護人は、控訴するかどうか「本人に決めてもらう」としています。