山口県長門市のスーパーなどで節分シーズンに出回る「鬼の棒」をご存知でしょうか?

子供の魔除けとして親しまれる ねじり棒状のお菓子で、縁起物としても知られています。製造するのは、昭和27年創業の和菓子屋「虎屋」。先代から鬼の棒作りを引き継いだのは、二代目の 三井弘之さんです。


三井弘之さん
「息子は2人とも菓子学校に行ったけど、一人は洋菓子専門で、でもう一人は和菓子専門」
二代目を支えるのは、息子の優輔さんと駿輔さん。

新たな虎屋を模索する二人は従来の和菓子にとらわれず、マカロンや生クリーム入りの大福を考案し、今では看板商品の一つになりました。
三井優輔さん
「機械が全部、和菓子の機械とか窯なので、やりずらい時はやりずらいですね、焼き方が変わったりとか」

そしてもう一人。先代に鍛えられ、和菓子作りは60年以上の岡村弘さん。

4人の職人が製造から包装、配達まで全てを担います。そんな虎屋に、節分前の繁忙期がやってきました。無病息災を願い、厄除けとして親しまれる鬼の棒は、節分の風習の一つ。先代の三智広さんが、下関での修行時代に教わり、それを地元・長門市仙崎で広めたと言います。


弘之さん「最初は地元の和菓子屋さんが、一つの小屋に集まって、皆で鬼の棒を作ってた。5,6軒あったでしょうね。それも皆、廃業しちゃってね。昔、地元の人が鬼の棒を本にすると取材しよったんやけど久留米に一軒ある。それも5年前ぐらい前に辞めちゃったらしい」

西日本で作っているのはここだけとも言われ、鬼の棒は失われつつある、節分の風習です。節分祭を行う山口県宇部市の新天町では20年前、地元のお店が、鬼の棒作り辞めました。
宇部新天町名店街協同組合 理事長
「イベントはこれで終わりだねっていう雰囲気が流れたのは確かです。ですから虎屋さんと巡り会えたのは天の恵みだったのかなと思います」
