義務教育を受けられなかった人たちに学びの場を提供してきた珊瑚舎スコーレ夜間中学。去年、私立の夜間中学として認可するよう申請しましたが、県はこれを認めませんでした。公立の夜間中学がない沖縄において、「誰ひとり取り残さない社会」とは何か、現場を取材しました。

珊瑚舎スコーレ夜間中学。沖縄戦や戦後の貧困など、様々な理由で義務教育を受けられなかった人たちが通っています。

城間清廣(しろま きよひろ)さん。父親が出稼ぎで渡ったブラジルで生まれ、17歳の頃に家族で沖縄へ戻りました。

城間清廣さん「仕事でタクシー運転手をしていたから眠くて学校行ってない」

幼いころから働きづめで、学校で学ぶ機会がほとんどなかった城間さん。
おととし、珊瑚舎スコーレの門を叩き、日中はシルバーセンターで働いたあと、毎日教室へ足を運んでいます。

城間さん「勉強やりたいなと思っていたから。先輩と先生にお願いして、いつ来てもいいと言うから」

珊瑚舎スコーレ夜間中学では、授業料は無料です。ボランティア講師などの協力もあり、“自主夜間中学”として20年にわたって学びの場を提供してきました。

去年3月、夜間中学の活動をより充実させるため、私立の夜間中学としての設置認可を県に申請しましたが県の回答は『不許可』。校舎や運動場の面積が設置基準を満たしていないという理由でした。

珊瑚舎スコーレの星野代表は、県に再審査を求めるとともに、県議会に陳情書を提出しました。

珊瑚舎スコーレ 星野代表「学びっていうことは基本的人権の柱の一つですから。権利の保障ということのために門戸を開けておくこと。準備してあること。いつでも通っていい、通える状況を作ること。それが行政の仕事」