年間20件を超えることもあった富山県内の農業用水路での死亡事故が、減少傾向に転じています。その背景にあるのが、県民にお馴染みの看板キャラクター「用水だ!くん」を活用したSNSでの新たな啓発戦略です。稲刈りなどで用水路に近づく機会が増える秋を前に、富山市では「用水だ!くん」も参加して危険箇所の点検が行われました。

船峅土地改良区 辻幸雄理事長
「特に危険かなと思われるところはここなんです。草を刈らないと道路と用水の境がもうわからない」

富山市の船峅地区では用水路の危険箇所点検が行われました。

これは稲刈りなど農業用水路に近づく機会が多い秋を前に行われたもので、地元の土地改良区の職員や警察など16人が参加。周囲に草が生い茂り用水路の存在に気がつかず転落してしまう危険性のある場所などを見て回りました。

「夜暗いときに走っていく自転車もたまに見受けますので、落ちるんじゃないかなと心配している」

点検にはこんな助っ人も登場しました。

「ここ危ないの?この草が生い茂っているところ。これ滑っちゃうみたい。気をつけなきゃいけないんだ」

身振り手振りで注意を呼びかけたのは、富山県オリジナルのキャラクター「用水だ!くん」です。

県農林水産部農村整備課 稲葉公一課長補佐
「富山県オリジナルの用水だ!くんといいます」

県内各地の用水路のそばに危険を知らせるために建てられた看板でお馴染みのあのキャラクターです。

県農林水産部農村整備課 稲葉公一課長補佐
「用水路の転落事故防止ということで、県職員のデザインをもとに昭和60年代に作成しました」

実は「用水だ!」の看板は富山県にしかないオリジナルの看板なんです。富山県内2000か所以上に設置されています。

3年前には、看板を飛び出して「用水だ!くん」として着ぐるみにもなりました。

その狙いはどこにあるのでしょう。

富山県農林水産部農村整備課 稲葉公一課長補佐「イベントにも着ぐるみで参加できますし、SNSに発信するにしても、色々なところで用水だ!くんが活躍していますのでより効果的な安全啓発に資することができるのではないかと思います」

県は用水だ!くんを使ったPR活動を積極的に行っていてXでの投稿を見てみると、なんと表示回数は26万回です。

県農林水産部農村整備課 稲葉公一課長補佐
「予想外の伸びで、正直嬉しい驚きで捉えております」

危険な箇所を探し出し広報活動に取り組んでいました。

年間で20件を超えることも多い県内の用水路での死亡事故。そのほとんどが高齢者です。

そんな中、若者をターゲットにSNSでの啓発を行う狙いはどこにあるのでしょう。

県農林水産部農村整備課 稲葉公一課長補佐
「若い方に用水だ!くんを知っていただいたり用水路の危険性を知っていただきまして、それを家庭ですとか地域で会話の中で広めていただいてお年寄りの方にも注意喚起をしていただくそのようなことを狙ってSNSでの発信をしています」

この戦略は確かな成果を見せています。「用水だ!くん」が着ぐるみで登場した2023年以降、用水路での死亡事故は減少傾向にあり、昨年度は12件でした。

今年は8月20日現在で2件にとどまっています。県は今後もポスターの掲示などと合わせ、多角的なアプローチで事故防止を呼びかけていく方針です。