北海道江別市で起きた男子大学生暴行死事件の裁判員裁判では、解剖医や精神鑑定医の証言から事件の裏にあった異常な心理状態や過酷な実態が明かされました。裁判で浮き彫りとなった歪んだ関係性を整理します。

裁判で明らかになった主犯格とされる男(当時18歳)の証言

裁判員裁判が行われた札幌地方裁判所の法廷内(2026年7月15日)
裁判員裁判の法廷(札幌地裁・7月15日)

当時20歳の大学生、長谷知哉さんへの集団暴行死事件の裁判員裁判では、主犯格とされる当時18歳でアルバイトだった男の証言と、客観的な証拠や他の証言との間に、大きな隔たりが見られる場面がありました。《連載④》

7月15日の公判。弁護側の被告人質問で、主犯格とされる男は、長谷さんが亡くなったと知った時の心境について問われました。

男は自身は殺害していないとし、亡くなったのであれば他の誰かが最後に行為に及んだと思った旨を証言。自らが中心となって加えた暴行が、死に直結したという認識を否定しました。

しかし、この証言は医学的所見と矛盾しています。7月21日の公判で、検察側の証人尋問に出廷した、遺体を司法解剖した医師は、「すべての負傷が被害者を死に至らしめた」と証言しました。「直接的な死因とは関係のない行動はあるか」という検察からの問いに対しても、医師は「すべての負傷が死に至らしめています」と断言。特定の誰かによる最後の暴行だけが原因ではないことを説明しました。

では、なぜ主犯格とされる男は、これほど重大な事件を引き起こしてしまったのでしょうか。