中東情勢によって、エネルギーの安定供給が課題となるなか、“南米のドバイ”とも呼ばれる新たな産油国に世界が注目しています。日本企業も進出し急激な成長を遂げる国でいま何が起きているのか取材しました。
5月に開かれた世界最大級の海洋エネルギーの展示会。そこには長蛇の列が。
記者
「世界中から関係者が集まるなか、開幕の演説を務めるのはガイアナの大統領です」
南米ガイアナ アリ大統領
「私たちは、世界でも最も成長していて、質の高い生産国のひとつです」
熱い視線を集めるのは“南米のドバイ”とも呼ばれる小さな産油国、ガイアナ。大統領の周辺には業界関係者やメディアが殺到しました。
業界関係者
「国自体も成長するでしょうし、石油事業は壮大な規模になると思います」
なぜ、これほど関心を集めているのでしょうか。
日本の本州ほどの面積におよそ80万人が暮らすガイアナ。かつては「南米の最貧国」とも言われていましたが、2015年にアメリカ企業が海底油田を発見すると、国の姿は一変しました。
市民
「ガイアナはすべてが急速に活気づいているよ。不満なんて一つもないさ」
2022年のGDP成長率は驚異の62%。いまでは国民1人あたりの原油生産量は世界一です。
巨大な橋が整備され、高層ホテルや住宅の建設ラッシュ。海外企業の進出も相次いでいます。
さらにイラン情勢を受け、中東依存のリスクが改めて意識されるなか、新たなエネルギー供給国として注目されているのです。そして、この石油の生産現場にいち早く参入した日本企業があります。
海上で原油を生産・貯蔵する船型の設備「FPSO」を建造・操業する三井海洋開発。初の日本人として赴任するのが高橋雄希さん(39)です。
新たなプロジェクトが稼働するとガイアナの原油生産量は100万バレル以上に。日本の1日の石油消費量のおよそ3分の1にあたる規模です。
新たな産油国の現場から日本や世界の人々を支えたいと話します。
三井海洋開発 高橋雄希さん
「業務を通してエネルギーの安定供給の継続に貢献していきたいという気持ちがあって、今の仕事を続けています」
一方で、ガイアナが抱える課題もあります。
フェリーで2時間ほど離れた海底油田に近いエセキボ地区では政府に対するこんな声が。
市民
「金持ちはより金持ちに、貧乏人はもっと貧しくなっている。不公平だよ」
夫と2人、年金で暮らすベロニカさん(70)も利益の分配が公平になされているのか政府に疑問を投げかけます。
元教師 ベロニカさん
「エセキボでは、人々が依然として極度の貧困の中で暮らしています。政府に近い人だけが利益を得ていると感じます」
世界のエネルギー地図を塗り替える存在として期待されるガイアナ。その豊かさは、国民にも届くのでしょうか。
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