茨城県の介護施設で点滴に空気を注入し、入所者2人を殺害した罪などに問われた元職員の女の裁判です。水戸地裁はきょう、殺人の罪について1件を無罪としたうえで、懲役20年の判決を言い渡しました。

裁判長
「被告人を懲役20年に処す」

介護施設の入所者2人を殺害した罪などに問われた元職員の女に対し、水戸地裁が言い渡したのは懲役20年の有罪判決です。

しかし…

裁判長
「1件は無罪とする」

有罪としたのは2件の殺人の罪のうち1件で、もう1件については「無罪」としました。

介護施設元職員の赤間恵美被告(40)は2020年、古河市の介護施設で入所していた鈴木喜作さん(当時84)と吉田節次さん(当時76)の点滴に注射筒=シリンジで空気を注入し、殺害した罪などに問われていました。

これまでの裁判では…

赤間被告
「私は空気を注入していません。殺害していません」

殺人の罪について一貫して無罪を主張。裁判の争点は入所者2人が殺害されたのかどうか。そして、赤間被告が殺害したのかどうか。裁判は54回に及ぶ異例の長さとなりました。

検察側は「入所者から標的を無差別に選んだ」と指摘、そのうえで…

検察側
「ストレスから八つ当たりのように人を殺害することはあまりにも理不尽」

無期懲役を求刑しました。

一方の弁護側は…

弁護側
「動機や経緯が証拠によって証明されていない。不確かなことで処罰することは絶対許されない」

殺人の罪について無罪を主張していました。そして、きょうの判決。赤間被告は黒いスーツ姿で出廷しました。

裁判長
「被告人を懲役20年に処す」

水戸地裁は入所者の吉田さんへの殺人の罪について、「殺害されたのは施設で点滴を打っている人と限定的。事件はその中から対象を選んだ無差別なものである」などとして、懲役20年の判決を言い渡しました。

しかし…

裁判長
「鈴木さんの事件は無罪とする」

もう一人の入所者、鈴木さんへの罪については無罪としました。

水戸地裁は鈴木さんの死因について「何者かが空気を注入したことにより死亡した」とし、「他殺」であることは認めましたが、“赤間被告が鈴木さんの部屋に入るところを目撃した”とする施設職員の証言について「記憶が不確かな表現が多く、信憑性があるとは言いがたい。部屋に入ったとは認定できない」としました。

さらに、「シリンジを用いるなどして空気が注入されたと言えるだけの証拠がない」としたうえで…

裁判長
「事件の手法は医療知識を持たないものも思いつくような方法であり、被告が事件の犯人であるとするには合理的な疑いが残る」

判決が言い渡された際、赤間被告は落ち着いた様子でじっと前を見つめていました。

弁護士
「我々の主張が受けられた部分とそうではない部分があるので、半分は納得いく部分があるが、半分は不服ということに尽きる」

弁護側は控訴する意向を示しています。