「ラーメンの街」として知られる喜多方市。ただ、今回見えてきたのは、ラーメンだけではない喜多方の、もう少し深いところにある魅力でした。

ラーメンの街に、フレンチ出身の料理人が現れた

昨年4月にオープンした「ララゴッツォ」。店名からして気になりますが、その由来はユニークです。フランス語の定冠詞「la」と、会津の方言でごちそうを意味する「ごっつぉ」を組み合わせた造語。つまり「ザ・ごちそう」というわけです。

店主の井上さんは、もともとホテルやレストランでフランス料理と洋食の修行を積んだ料理人。その技法をラーメンに持ち込んだというのが、このお店の最大の特徴です。

たとえばムール貝塩ラーメン。宮城県産の新鮮な生のムール貝から取った濃厚な磯の旨味が、喜多方ラーメンのスープと合わさります。ムール貝のパスタをラーメンに置き換えた、と井上さんは説明しますが、平打ち麺との相性も含めて、それが見事にはまっているのだといいます。

さらに看板メニューの特製みそラーメン「ららご」は、フレンチの技法で取ったスープに、会津産の味噌に豆板醤とニンニクを合わせた特製味噌だれを合わせた味噌ラーメン。トッピングには、肉汁を中に閉じ込めたローストポークが乗ります。

同じく注目の新店として今年1月オープンの「ひとつぶの麦」。イチオシの「黄金の塩そば」は、その名の通り黄金色に輝くスープが目を引きます。旨味の濃い親鳥の脂から作る「ちーゆ」が黄金色の正体。さらにスープにも丸ごとの親鳥を使い、塩だれにはクリスマス島の天然塩を採用するというこだわりようです。麺は中太と手打ち極太の2種類から選べます。

そして昨年7月オープンの「純手揉み中華 れん」には、東京でミシュランガイド6年連続掲載を果たした人気店「らぁ麺やまぐち」の店主・山口さんがプロデュースで関わっています。看板商品の特製中華そばで使われる麺は「夏乃舞」というブランド麺。福島県の奨励品種小麦「夏黄金」を使い、「口の中で踊るような食感」と表現される強いコシが特徴です。スープは九十九里浜の青口煮干しと会津地鶏の組み合わせ。開店から1年足らずで食べログ評価3.5を獲得しているのも納得の一杯です。

今年4月誕生、「満点テラス」という名の絶景

「うわっ、なんですかこの眺め!ハイジじゃないですかこれ」
今年4月に喜多方市に誕生した「満天テラス」は、雄大な飯豊連峰と眼下に広がる田園風景を、180度の大パノラマで見渡せる絶景スポットです。

心地よい風を浴びながら、地元で採れたそば粉を使った打ちたてのそばを味わい、喜多方で作られた日本酒やワインを楽しむ。そんな贅沢な時間が流れる場所です。「地元で採れたそば粉を使ってるっていうのもあって、この景色を見ながらこのそばを食べることに意味を感じますね」という言葉が、このスポットの魅力を端的に表しています。
天ぷらの野菜も地元産にこだわっています。ただし、営業は11月末までの週末限定。今が旬のスポットだけに、足を運ぶなら早めの計画が必要です。

街ぐるみで広がる「黄色いシリーズ」

「喜多方の『喜』という字を、黄色の黄に当てて……」という発想から生まれたのが、「黄色いシリーズ」と呼ばれる街おこし活動です。黄色いメニューで飲食店から喜多方を盛り上げようという取り組みで、現在7店舗が加盟しています。

発起人の一人、長谷川さんのお店「長谷川商店」では、ラードと小麦粉を絶妙なバランスで配合した「最強濃度」を目指した黄色いカレーを提供。新感覚の一品で、そのカレーを使ったカレーラーメンもあります。カレーの下には、かつおだしの風味が漂う塩味のスープ。カレー、かつおだし、塩という3つの味が溶け合う複雑な旨味が特徴です。

古物カフェ「凡采」では、会津牛の牛すじを使った洋風カレーをかけた焼きそばが登場。「焼きそばにカレーって、もっとガツンと来るイメージだったんですけど、カレーが洋風で優しい味。カレーの中に牛が入ってるんです、会津牛。もうプルプルで、口の中でとろけるんですよね」という声が、その仕上がりを物語っています。

「とんかつ栄」では黄色いカツカレーを提供。17年ぶりに再オープンしたこのお店、店主の上田さんが亡き祖父母の味を再現しようとしている背景があります。「食べたときに懐かしいって思ってもらえるように」という言葉とともに作られるカレーは、ラーメンスープと小麦粉とラードで深みを出したものだそう。店内には「挑戦者求む」という張り紙もあり、お肉250gの超大盛りカツカレーへの挑戦も受け付けています。

喜多方はラーメンだけじゃない、という話

フレンチ出身の料理人が作るラーメン、街ぐるみで広がる黄色いブーム、今年誕生したばかりの絶景テラス——どれも「ラーメンの街・喜多方」という一言では収まりきらない豊かさを持っています。次に喜多方を訪れるとき、少しだけ寄り道してみると、きっと思いがけない出会いがあるはずです。

-----------------------------------------
ここで紹介できなかったお店は「TVer」でチェック!
『ふくしまSHOW』
(福島県域 水曜よる7時~)
見逃し配信は無料サービス「TVer」で
https://tver.jp/series/sro2m95cnv