日本でも親しまれている韓国の「のり」。実は、ここ10年、海外への輸出が好調です。成長のカギは、どこにあるのか生産現場などを取材しました。
記者
「韓国南西部・全羅南道の海です。見渡す限り『のり』の養殖場が広がっています」
日本でもおなじみの「韓国のり」。実は世界の「のり」市場でのシェアは7割を超え、韓国の水産物輸出の柱の1つとなっています。日本と比べ、おととしの輸出額は40倍以上。ここ10年、右肩上がりの成長が続いていますが、その理由について韓国政府の担当者は。
韓国海洋水産省 パク・スンジュン輸出加工振興課長
「韓国のKコンテンツ“韓流”の力が加わるなど、複合的な要因で成功したようです」
ドラマや映画、音楽といった韓国の大衆文化、“韓流”。世界にファンを広げていますが、「韓国のり」の輸出まで後押ししているというのです。
そして…これは、1000万を超えるフォロワーを持つ人気ユーチューバーの動画。「韓国のり」を使ったのり巻き「キンパ」が登場しています。
こうしたネット上のコンテンツも「巨大広告」とも言える役割を果たしているようですが、成長の要因はその生産現場にもありました。
記者
「『韓国のり』の工場です。輸出用の『のり』が次から次に機械から吐き出されてきています」
こちらはヨーロッパやアメリカなど40の国や地域に「韓国のり」を輸出している会社の工場。その一角では「のり」の品質を高めるための研究が日々進められています。
重視されているのは、国ごとに違う消費者の好みにどのように合わせるかという「ユーザー目線」だといいます。
工場の担当者
「輸出先の特性や用途に合わせた現地化戦略、そして品質を最優先する経営で消費者のニーズを満たせるので、輸出が成長できていると思います」
ごま油が使われることの多い「韓国のり」ですが、この会社では欧米のマーケットも意識し、オリーブ油やアボカドの油を使った「のり」も製造しています。消費者の健康志向も踏まえ、品質の向上に向けた地道な努力も輸出増という結果に結びついているとみられます。
さらに…
木浦水産食品支援センターの職員
「(Q.何が分かるんですか?)『のり』の中にあるマグネシウムやミネラルなどの成分が分かります」
先ほどの工場がある全羅南道・木浦市などにある「水産食品支援センター」。政府や自治体の支援で立ち上げられました。
専門の設備を自前で整えるのが難しい地元の中小企業のために成分の分析だけでなく、「のり」を原料としたスナック菓子の商品開発まで手がけています。
木浦水産食品支援センター イ・ヨンチョルセンター長
「高付加価値の水産食品にするためには、原料から完成品まで差別化された技術が必要です」
実は韓国では今、「のり」の輸出先トップは日本や中国ではなく、アメリカ。
「のり」を原料とするスナック菓子といった加工商品に人気が出ていることが要因で、地元に密着しつつ商品開発を応援するという取り組みが生きているのです。
消費者を意識した商品開発と地域の手厚い支援。その土台に“韓流ブーム”を加える言わば総力戦で、伝統食、韓国の「のり」は海外への売り込みに成功したモデルとなっています。
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