民間調査会社の東京商工リサーチがまとめた調査によりますと、2025年の新設法人のうち約3割を「合同会社」が占めていることがわかりました。

現状:新設法人数の伸びを牽引、起業者の平均年齢は上昇

2025年に全国で新たに設立された法人は15万7,011社(前年比1.9%増)でした。このうち、合同会社は4万4,991社(前年比6.8%増、2,884社増)となり、新設法人全体の約3割(28.6%)を占めています。
法人格別で最多の「株式会社」(10万558社)が2年連続で前年を下回る中、合同会社は増勢をたどり、新設法人数の伸びを牽引しています。

長崎県内の推移

都道府県別のデータによると、長崎県内における2025年の合同会社の新設数は209社でした。前年の197社から6.09%増加しています。

業種・年齢層の傾向

サービス業他が突出:
最も社数が多かったのは「サービス業他」の2万1,090社で、全体の半数近く(46.8%)と突出しています。細分化された業種別では、経営コンサルタントなどの「学術研究、専門・技術サービス業」が7,029社で最多となりました。

起業者の平均年齢は過去10年で最高:
起業者(代表社員)の設立時の平均年齢は、2025年に47.77才となり、過去10年で最も高くなりました。
20代の起業構成比が2023年の9.0%から5.0%へ急減した一方で、30代(20.0%から23.4%)や40代(28.6%から29.6%)の起業が増加しています。
東京商工リサーチは、30代から40代の起業が増えたことが平均年齢上昇の要因とみています。

インボイス制度の受け皿と手軽で迅速な経営の魅力

合同会社は、2006年5月の会社法施行に伴い導入され、約20年を経て認知度が広がりました。東京商工リサーチは、合同会社の新設数が増加している背景として、設立コストの安さや経営判断の迅速さなどを挙げています。

設立コストと迅速な経営判断:
設立コストが安く、株主総会も不要で、社員(出資者)と経営が一致するなど、迅速で安定した経営判断が可能な点。

インボイス制度への対応:
2023年10月に始まったインボイス制度への対応で、個人事業から法人変更への受け皿的な存在としてメリットが評価された点。

個人の経験を生かした起業:
個人の経験や実績を生かし、独立する際に手軽な合同会社を選ぶ起業家が多いこと。

自由度の裏返しとなる「信頼性」と「プライバシー」の壁

一方で、東京商工リサーチは合同会社を巡る課題も指摘しています。

信頼性向上が課題:
自由度の高い経営の裏返しで、投資運用などで悪用されるケースもあります。突然連絡難となることや出資者(社員)が退社を引き延ばされることもあり、金融庁は合同会社の社員権の取得勧誘への注意を喚起しています。
東京商工リサーチは、このような事情から合同会社について「まだ信頼性ではいま一歩の域を抜け出せない面もある」としています。

代表者住所の非公開制度の対象外:
2024年10月にスタートした商業登記の代表者住所の一部非公開は、株式会社のみが対象で合同会社は活用できません。東京商工リサーチは、プライバシーを重視する経営者の間では株式会社を選ぶ動きが根強いとしています。

取引面での課題:
東京商工リサーチは、決算公告の義務がないことは事務コスト面でメリットがある一方、取引面での評価では不利になる可能性があると指摘しています。

東京商工リサーチは、合同会社の新設法人数が今後も増加を続けるかどうかは、法人格としての信頼性向上が鍵になるとみています。