金沢市の直下を通る活断層「森本・富樫断層帯」は、地震が起こる確率が全国的にみても高い部類に入りますが、その構造は実はあまり知られていません。今後の地震予測につなげようと、東京大学地震研究所などが人工的に揺れを起こす車を使って調査に乗り出します。

石川県津幡町から白山市の旧鶴来町に至る全長26キロの「森本・富樫断層帯」は、今後30年以内に地震が起こる確率が2%から8%で、金沢市を中心に震度6強以上の強い揺れが予想されています。しかし、こうした予測に使われる大規模な調査は20年以上行われていません。

東京大学地震研究所で変動地形学が専門の石山達也准教授は「地震発生確率も比較的高いということで、十分に注意すべき断層」と指摘しています。その一方で「評価を行う上で、データの信頼性をもう少し上げる必要がある」としていて、今回行う「深部構造探査」と呼ばれる調査に乗り出します。
この調査では「起振車」と呼ばれる車で人工的に揺れを起こし、地下から跳ね返ってくる波を、25メートル間隔で設置した地震計で捉えることで、断層の構造を調べます。

今回の調査では、金沢市普正寺町の健民海浜公園から犀川河川敷や県道209号沿いをつたって、医王山近くまでのおよそ24キロで観測することで、地下10キロ近くまでの構造を解明したいとしています。

石山准教授は「こういう大規模な調査は、森本・富樫断層帯ではこれまでに行われていない。強震動予測や地震ハザードの予測が実現されるということで、重要な成果を挙げられることが期待できる」としています。
ところで気になるのが、起振車を使って起こすこの人工的な振動、周辺の住宅への影響はないのでしょうか。石山准教授は「それほど大きな波を出すわけではないので、構造物に被害が及ぶことはありえない」と断言したうえで「ひょっとするとカタカタカタと揺れることがあるかもしれない。1か所数分間の発振で、それほど長く続くわけでもないので、くれぐれも心配のないようにしてもらえたら」と住民に呼びかけています。

起振車を使った観測は、13日から20日までの午前8時半から午後5時の間に行われ、調査の結果は早ければ2023年度中頃にも公表される見通しです。