短時間しか働くことが出来ない障害者でも、就職しやすくするための法律が今月、国会で成立しました。障害者や企業側からは期待の声があがっています。
知的障害がある三宅賢司さん(20)。就労支援施設で郵便物を仕分ける練習に励んでいます。
知的障害のある 三宅賢司さん
「時間内に終わらせて、一度も間違えないようにする」
三宅さんは企業への就職を目指し、およそ2年間、この施設に通っています。作業の効率はどんどんあがっていますが、「働きたい」という願いはまだ叶っていません。
知的障害のある 三宅賢司さん
「就職するどころか、(面接に)落ちちゃったりすることもある。(落ちた理由は)姿勢とか下向いちゃったりとか。誰かの役に立ちたい」
民間企業は従業員のうち2.3パーセントは障害者を雇うことが義務づけられています。ただ、この雇用率に反映できるのは「週20時間以上働ける人」。短時間しか働けない障害者の就職はなかなか進んでいません。いわば「週20時間の壁」。しかしこの「壁」が取り払われることになりました。
今月、成立した障害者雇用促進法の改正案では、勤務時間が週20時間未満でも雇用率に反映できるように定められました。週10時間から20時間未満の勤務で、「0.5人」分と算定される見通しです。
東京・江戸川区の会計事務所。「統合失調症」の伊藤勇男さん(46)は、およそ10年前に短時間雇用で働き始めましたが、症状も落ち着き、いまでは正社員として働いています。
精神疾患・統合失調症 古田土会計で働く 伊藤勇男さん
「早く正社員になりたかったので、早く(時間を)延ばそうと思ったが、逆に周りの方が抑えていただいて。まだそんなに焦らないで、ちゃんとゆっくり、長く働くんだから、ゆっくり延ばしていきましょうと。定着に良かった」
体調の波が大きい精神障害者にとって、短い時間で無理なく働けるようになる今回の制度改革は念願だといいます。採用する企業の側からも歓迎の声があがっています。
古田土会計 障害者雇用採用担当 十河寿寛部長
「法律の制度でハードルが下がることになるので、もっと採用できる障害者の幅、裾野が広がる」
一方、支援団体などからは「雇用率ありきの就職が増えるのでは」との懸念の声もきかれます。
制度は再来年4月から始まる予定ですが、障害者が自分らしく働けるように社会の理解が進むことが求められます。
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