不法就労の外国人に関する情報を募り、逮捕につながれば1万円程度の謝礼を支払うという制度についてです。茨城県が新年度からの導入を目指す“通報報奨金制度”に対し「差別や偏見を助長する」といった批判が相次いでいます。
茨城無所属・政策の会 玉造順一 県議
「報奨金支給まで県が制度化するのは、排外主義を助長しかねない」
先週金曜に行われた茨城県議会。議題にあがったのは、県が新年度からの導入を目指す“通報報奨金制度”です。
茨城県 大井川和彦 知事
「(通報対象は)不法就労を助長する事業者。差別を助長するような制度にはならない」
不法就労の外国人に関する情報を市民から募り、逮捕につながれば1万円程度の報奨金が支払われるというこの制度。
先月、大井川知事が導入の方針を明らかにすると、在日外国人の支援団体などから反対の声が相次ぎました。町の人は…
茨城県民(30代)
「報奨金を渡すのはちょっとやりすぎかな。こういった制度ができることによって、より外国人への差別や偏見が増えてしまう」
茨城県民(10代)
「自分は賛成ですね。入ってくるのはいいと思うが、(ルールを)しっかりやってから働いてほしい」
県が導入を急ぐ背景にあるのが、不法就労の外国人の多さです。
入管庁によりますと、おととし(2024年)全国で不法就労と認定された外国人1万4000人あまりのうち、茨城県で働いていたのは3452人。3年連続で全国最多となり、そのうち7割以上が農業に従事しているといいます。
記者
「“首都圏の台所”茨城県の鉾田市に来ています。農業が盛んで、たくさんのビニールハウスが並んでいます」
鉾田市内のほうれん草農家。ここで働く12人のうち7人がベトナムやタイから来た技能実習生など正規の在留資格で働く外国人です。
妻と子を残し、6年前に来日したというベトナム人の男性。“報奨金制度”の導入に不安を感じています。
ベトナム人男性(33)
「私たちは仕事をして、日本に納税もしている。でも、結局同じように見られる。疑いの目で見られることが悲しい。“外国人”と一括りにしないで、その人の行動を見て判断してほしい」
一緒に働いてきた農家の女性も「人手不足の現場を外国人が支えている」としたうえで、複雑な思いを口にしました。
ほうれん草農家
「賛成か反対かの2択なら賛成。不法就労は、やっぱりこれだけ問題になっているというのは実情で。正しいルートで正規(雇用)されるというのが、日本の今後の安全な雇用に繋がると思う」
一方、技能実習生らの受け入れに携わる事業者は制度の導入で不法就労の問題が解消されることに期待を寄せています。
グリーンビジネス協同組合 塙長一郎 代表理事
「不法就労者は身分が保証されていない。保険とか色々な日本で保護される制度にもアクセスしにくい。不法就労者は、正規な外国人の引き抜きをやる。1人引き抜いたら、例えば5万円とか10万円とか。不法滞在者によって一生懸命な大部分の人が迷惑している」
しかし、専門家は「通報」という手段そのものが外国人差別を助長しかねないと指摘します。
移民政策に詳しい 国士舘大学 鈴木江理子 教授
「『通報』は他人を疑いの目で見るため、相互不信を生み出してしまう。同じ外国人でも正規の就労資格で働ける人かどうか外見ではわからない。どう判断するかというと、偏見に基づく通報になってしまうので、社会あるいは市民の間に分断をもたらしてしまう。行政の制度によってもたらされてしまうのは大きな問題」
県の担当者は…
茨城県 産業戦略部 労働政策課
「通報内容は外国人個人ではなく事業者に関するものに限定し、匿名による通報も受け付けません」
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