ロシアのウクライナ軍事侵攻から12月24日で10か月。
愛知県刈谷市では、ウクライナから避難してきた女性が描いた絵画を展示する催しが開かれました。絵に込められた思いとは。
愛知県刈谷市のアートギャラリーで開かれている「ウクライナチャリティ展」。
この地方の作家ら30人が絵画などを出品し、売り上げの3割はウクライナ支援のために寄付されます。
会場の最も目立つ場所に飾られた「ひまわり」の絵。タイトルは「ネバー・アンブレイカブル」、「決して壊れないもの」という意味です。
(ウクライナから避難したオレーナ・デルカッチさん)
「ウクライナのひまわりはたとえ枯れてしまっても、真冬の寒さの中でもずっと立ち続けています。そんなひまわりの姿を、私たちウクライナ人と重ね合わせて描きました」
描いたのは、ウクライナから愛知県安城市に避難してきたオレーナ・デルカッチさん(42)。オレーナさんは、ことし6月にウクライナ東部の都市・ハルキウから、夫と3人の小学生の娘とともに避難し、現在は安城市内の県営住宅で暮らしています。絵は、ウクライナにいるときからずっと趣味で描いてきました。

(ウクライナから避難したオレーナ・デルカッチさん)
「絵を描くことがとても好きです。絵を描いているときは不安なことを忘れられるから」
安全な日本に避難できた一方、日常生活での言葉の壁やいまもウクライナにいる両親のことなど不安は尽きません。
今回この展示会には、以前からこのギャラリーで絵画の展示を行ってきた刈谷市在住の奥村ゆきさんに誘われて参加を決めました。
(奥村ゆきさん)
「孤独だったりストレスを感じたり、もどかしさがあったりするときに、絵は何かを伝える手段でもあると思う。なかなか言葉にして言えないことを、絵にぶつけて描いているのではと感じている」

この日、オレーナさんたちが会場を訪れると、うれしいニュースも。
ウクライナの故郷の風景を描いたもうひとつのオレーナさんの作品が、展示会の初日に売約済みとなっていました。
催しは12月25日まで開かれ、会場には多くの人が訪れました。
(ウクライナから避難したオレーナ・デルカッチさん)
「これまで自分の気持ちを支えてくれた絵が、母国の支援につながるのはとてもうれしいです。協力してくれたすべての人たちに感謝しています」