お弁当やおむすびに欠かせない「ノリ」。ついつい手が伸びてしまうこの食材に今、異変が起きています。広島県内で何が起きているのか、その影響を取材しました。

福山市内海町。ここは県内有数の「ノリ」の産地です。備後灘で毎年12月中旬から始まるノリの収穫は3月上旬ごろまで続きます。しかし…ことしは様子が違っていました。

記者「こちらがノリの製造工場です。本来ならば、3人体制24時間で動いているのですが、例年に比べ1ヶ月ほど早く終わったということです」

マルコ水産 兼田寿敏 営業部長
「出始めは結構質の良いノリが出たんですけど、すぐに栄養不足になって年明け早々には田島沖の漁場では色落ちが始まって」

通常、質のよいノリは、ノリらしい「濃い黒色」をしていますが、色落ちしたノリは一目で分かる薄い緑色をしています。このノリの色落ちは日本一の生産量を誇る熊本県有明海でも起きていました。

マルコ水産では、この状況をうけて、今シーズン、例年より1ヶ月早く漁を終えました。ノリを製造する工場の掃除も終え、静かな状況です。色落ちの理由について兼田さんは栄養塩の不足があると考えています。

マルコ水産 兼田寿敏 営業部長
「今年に限った要因で言うと、雨が圧倒的に少なかったのが大きいと思います」

雨が降ると、土壌などに含まれる栄養分が川から海へと流れ出ます。しかし、去年11月ごろから少雨傾向だったことが大きく影響していると兼田さんは話します。

実際に、福山市の降水量は、去年11月からことし1月の3ヶ月でわずか49ミリ。平年の4割にも満たない量で、芦田川水系のダムで渇水の懸念が生じるほどでした。

マルコ水産 兼田寿敏 営業部長
「そうは言っても、心込めて作ってますので、シーズン当初にはおいしいノリもできていますので、食卓でいつものようにノリを食べていただきたい」

ノリの異変はノリを扱う飲食店にも影響を与えています。県内に3店舗を構える「おむすび膳七」です。毎月およそ1万個以上販売するおむすびには、内海町のノリが使われています。

(株)オクモト 膳七事業部 中村高弥 部長
「おむすびにノリは必要不可欠なものだと思います。2年前くらいと比較すると2倍以上仕入れ値が高騰しているという状況で、原材料の値上げ含めて厳しい状況にはなっています」

ノリだけでなくコメの価格高騰も長引き、人件費も上昇したことで店舗では去年、1商品あたり10円から20円の値上げに踏み切りました。

一方で、歯切れが良く風味豊かな内海町のノリは商品のこだわりです。そこで、商品開発の際、ノリの使用量を見直したり、そもそもノリを使わないメニューを考案するなど、工夫をこらしてノリ不足に対応しています。

(株)オクモト 膳七事業部 管理栄養士 村上有規子さん
「(ノリを)ただ減らすのではなく、具材の組み合わせや分量を工夫しながらコストを抑えても満足していただけるようなおむすび作りを目指しています」

日本人の食卓に欠かせないノリ。価格高騰はしばらくの間続きそうですが、膳七では価格が安定した食材を合わせて使いながら厳しい局面に対応していきたいとしています。