シリーズでお伝えしているトランプ政権発足から1年「割れるアメリカ 揺れる世界」。移民への締め付けを強めるトランプ政権の矛先は外国人留学生にも向けられています。学生ビザの審査厳格化などで外国人留学生のアメリカ離れを引き起こし、国の強みである大学の“優位性”をも揺るがしています。
ソフトバンクグループの孫正義会長にトヨタ自動車の豊田章男会長。マイクロソフトのナデラCEOにグーグルのピチャイCEO。世界に名だたる経営者である彼らの共通点は「アメリカへの留学経験」です。
そんな世界中から最高峰の才能と知識が集まるアメリカの大学に去年、異変が起きました。
アメリカ トランプ大統領(去年5月)
「(外国人留学生が)多すぎて、入学を希望するアメリカ人が入学できない」
移民への締め付けを強めるトランプ政権は学生ビザの有効期間を最大4年に短縮し、審査を厳格化する方針を打ち出しました。
こうした方針が影響してか、去年9月の「秋学期」にアメリカの大学に新たに入学した留学生の数は前の年と比べて17%減少。アメリカにおよそ27万人の留学生を送り出している中国でも、その傾向は顕著です。
中国山東省の青島市にある欧米への留学手続きをサポートする会社です。これまで扱う留学先の3分の1以上がアメリカでしたが、トランプ氏の就任以降、学生がアメリカ留学を避けるようになったといいます。
留学サポート会社経営 謝依洵さん
「(米国へ行く学生は)約50%減少しました。半数の学生が米国行きを選択しなくなりました。現在、学生の選択に最も影響を与えているのは入学許可とビザの問題です」
おととしまでアメリカの留学生の中で最多を占めていた中国からの留学生。2020年をピークに右肩さがりに転じ、トランプ大統領就任後、その減少に拍車がかかっているということです。実際に中国の大学生に行ってみたい留学先を聞いてみると…
中国の大学生
「ニュージーランドです。あちらの待遇が良いから」
「ドイツです。安いから」
「オーストラリアです。博士課程の入学が比較的容易だと思うから」
ほとんどの学生がオセアニアやヨーロッパと答えました。
国際教育者協会の報告では、アメリカの去年の留学生減少による損失は11億ドル=日本円でおよそ1740億円に上るとされています。
母親がかつてアフリカからアメリカへ留学し、後に市民権を得たという、こちらの男性。このままではアメリカが金額以上に大切なものを失ってしまうと危機感をあらわにします。
母親が元留学生のアメリカ人男性
「率直に言って、留学生が米国に来るのを怖がらせることは良くない。米国の大学が世界最高峰となったのは、留学生に対して門戸を広く開いていたからだと思います」
世界中から名だたる経営者や研究者を輩出してきたアメリカの大学。トランプ政権下で、その“優位性”が失われてしまうかもしれません。
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