「与えられた環境下で何ができるか考えてきた」
キャリアか、出産か。竹内選手は、選手が最優先と考えながらも、もう一つの可能性を残すためにベストを尽くす、という決断を下した。出産を経て仕事に復帰した小川キャスターは、竹内選手に聞いてみたかったことがあったという。
小川:アスリートの世界も、どこか男性社会だったりとか、男性中心に考えられがちな部分というのはあったと思うんです。その中での葛藤というか女性としてアスリートを続けられる中で苦労した事だったり、大変だった事はありますか。
竹内:全く想定しなかった質問なんですけども。正直あまりなくて。
小川:そうですか。
竹内:もちろん男性優位、例えば雪上に立っていてもコーチとかスタッフはほぼ男性で、それは女性があまり適さない仕事だからだと思うんですね。本当に肉体労働ですし、いろんなものを担いだりとか。女性で言えば、特に私たちの種目というのは妊娠・出産から離れてカムバックしてくる事というのは本当にハードルが高くて。協会・国・チームの理解があって、初めてカムバックできるものなので、そういうふうに今言われてみて客観的に見ると、ハンデはすごくあるなとは思います。でも、私はそのハンデの中で生きるべきだと思って捉えてきたからこそ卵子凍結であったり、そういう自分の中での選択をしてきたのかなって思うので、ハンデではなくて、その与えられた環境下で何ができるんだろうって考えてきたのかなと思います。
小川:女性キャスターの世界でも、私が夜の23時の番組を担当した時は子育てしながらキャスターをしている女性は本当に少なかったんですけれども、今はそれが当たり前になってきているので、ずいぶんこの数年で変わったなっていう感覚はありますね。
竹内:これから若い世代がゆっくりと出産をして戻ってきても、同じ舞台で男性と一緒にやり合っていけるような未来があれば、良い意味で次に引き継がれていくのかなって。それは選手としても同じで、アスリートが産休をとってもカムバックしやすいような環境に繋がっていけば、もっともっと、出産して選手を続ける選手も、もしかしたら増えるかもしれないって思うと、やっぱり全てのことに意味があるんじゃないかなと思っています。
小川:人生って決断の連続ですよね。特に女性はそれを突きつけられることが多いようにも感じるんですけど、そこでなかなか決断できないっていうことも多いと思うんですね。私も結構ダラダラ流されてしまうタイプなんですけど。
竹内:意外、そうなんですか。全くそうは見えないんですけど。
小川:決断しているように見えるんですけど、そうでもなかったりとかして。「決断する秘訣」は、迷いがあったら留まる、続けてみるということなんですかね・・・。
竹内:そうですね迷いがあったら「留まる」「続ける」でどうしても変えられない時ってあると思うんですね、何かを。変えられないときはまずその変えられないことを受け入れて、そこからまずは自分が変わる努力をするっていうふうにも考えるようにはしていて。それが正しかったんだっていうふうに常々持って行ける努力をしているのかなって思います。だから、何が正解かはわからない。卵子凍結したことも正解だったかどうか、引退をするタイミングであったり休むタイミング、選手を続けるタイミングというのも本当に何が正解かは死ぬまでわからないんじゃないかなって。だから今日、今やりたいことをやる。その先いい未来になっていればいいなと思っています。
小川:いやあ、かっこいいなぁ・・・。
正しい決断を下すのではなく、下した決断を正しかったと思えるように、努力する。その積み重ねが、7回目のオリンピックへと繋がっている。
竹内:本当に7大会も選手をやれているとは思っていなかったので私自身も楽しみたいですし、その姿を見て応援してもらえると嬉しいです。
■竹内智香
1983年12月21日生まれ 北海道旭川市出身
五輪初出場は2002年ソルトレークシティ大会(22位)。06年トリノ大会(9位)、10年バンクーバー大会(13位)、14年ソチ大会(銀メダル)、18年平昌大会、22年北京大会と6大会連続で出場し、冬季五輪日本女子最多。2015年の世界選手権では銅メダルを獲得。














