いま議論されている税制の見直しとは、どのようなものなのでしょうか。

「減税」並ぶ税制改正メニューも穴埋め財源は不透明

高市政権の税制改正のメニューについて、主なものを見てみます。

▼減税
・ガソリンの暫定税率廃止
・自動車の環境性能に応じて購入時にかかる税の停止
・住宅ローン減税の5年延長
 中古物件などの支援拡大
・所得の非課税分160万円の「年収の壁」引き上げ
・NISA(小額投資非課税制度)の対象を0歳からに拡大

減税メニューが目立ちますが、税収が減った分の穴埋めができなければ、必要な政策を実行するための財源がなくなってしまいます。そこで問われるのが、政権与党で税制を担う幹部議員らの調整力です。

前自民党税調会長で財政規律派の宮沢洋一議員は、2024年の税制改正大綱に置き土産として「税収中立」という言葉を書き入れました。これは、減税によって税収が減った分と同じだけ、増税などで穴埋めしなければならないという考え方です。

例えば、自動車関連の税収は全体で約5.8兆円ですが、ガソリンの暫定税率廃止など自動車関連の減税が実行されれば、1.7兆円の減収となります。

しかし、この分をどこから持ってきて穴埋めするのかは、まだ決まっていません。老朽化した道路の補修など道路整備関係にかかる費用は年6兆円と見積もられていて、税収を確保ができなければ、整備計画に影響する可能性もあるのです。