クマが人を襲う被害は日本だけでなく、ヨーロッパ最大のヒグマの生息地・ルーマニアでも急増しています。しかし、徹底した対策で被害を減らした町もあります。クマ対策の最前線を取材しました。
ルーマニアにあるウィンタースポーツで人気の町・プレデアル。今年のクマの目撃件数は300件以上あり、散歩中の男性が襲われ重体になる被害も起きています。
プレデアルの住民
「常にクマを見かけます。住んでいるところはほぼ24時間危険です。恐怖の中で生活し通勤しています」
これは今年3月に撮影された映像です。ごみをあさっている巨大なクマが近づく車を威嚇しています。
この町では、こうした光景が春から夏にかけてほぼ毎日確認されているといいます。
記者
「こちらのごみ箱はフタが壊れて外れていまして、クマがこの中に頭を突っ込んで、ごみをあさる様子が目撃されています」
ごみがクマを引き寄せる町。周辺にはフタのついたごみ箱はほとんどありません。こうした観光地では、クマ対策が徹底できていないといいます。
レストランを経営
「観光客の中には野生動物に近づいたり、エサをあげたりする人もいます」
一方、いち早く対策に乗り出し、クマの被害がゼロになった町があります。
「これは、教会の電気柵です」
山に囲まれたこの町では、クマに効果があるとされる電気柵を住民に提供。町のいたるところに張り巡らされています。
バイレ・トゥシュナド ヨージェフ・モルナー町長
「クマは電気柵から3~4メートル離れたところで、チク・チクという音を感知します。さらに電流による振動も感じます」
設置された大きなごみ箱も電気柵で囲い、荒らされる被害はなくなったといいます。
そして、エサやり行為にも独自の罰金制度を導入。
バイレ・トゥシュナド ヨージェフ・モルナー町長
「野生動物なので一度餌を与えられると何度も戻ってきます」
さらに、実のなる木も全て伐採し町からエサとなるものを完全に排除した結果、2021年には238件あったクマの目撃通報が今年はわずか6件に激減しました。
町独自で進められる、クマ対策。
そんな中、ルーマニアでは政府のクマ対策をめぐって社会が揺れています。
記者
「いま保護されたクマが与えられた肉などを食べています。人を襲う可能性のあったクマはこちらの施設で管理されています」
ルーマニアではクマは保護種に指定されていて、安易に駆除することは法律で禁止されてきました。しかし政府は、この5年間で19人が死亡するなどの人的被害の急増を受けて、先月から危険な場合に限り「速やかに射殺」することを可能にしたのです。
かつては生活とともにあったクマ。こんな問題を投げかける人もいます。
保護施設を運営 クリスティーナ・ラピスさん
「むやみに殺し続けても、具体策がないと何も解決しません。共存するためには餌を与えたり、(近づいて)写真を撮ったりしてはいけないと、住民や観光客に教育しなければなりません」
クマによる被害が出ている中、今後クマとどうつきあうのか。ルーマニアは解決策を模索しています。
注目の記事
「それならお前を殺す」中3の息子(15)は少年4人から暴行を受け命を奪われた 角材で殴られ、コンクリートの塊を投げつけられ「頭がでこぼこにへこんでた」【少年集団暴行事件・第1話/全4回】

全国初「学長のおごり自販機」高知大学に設置 費用は学長の“自腹”で「あること」をすれば飲み物が無料に

残る唯一の系統《北海道犬》5匹の子犬誕生 年間繁殖数は約7000匹⇒100匹 飼育を続けて半世紀…血統を守ろうと奮闘する80歳男性

「手相が変わる」ってホント? 運勢をみるだけじゃない!手相が示す健康状態と生活のクセ「医学」と「占い」それぞれの解釈

【旧網走監獄】雑居房の床下から謎の文章13枚が見つかる 服役囚が隠した理由と文章の中身…半世紀以上の時を経て明らかに、記述から探るリアルミステリー

「来熊」「来鹿」あなたは読める?意外と知らない九州・沖縄各県の「来訪・帰省」略語事情

ガス漏れは整圧器異常…通常の12倍の圧力が原因か 広範囲でガス漏れ 22か所以上で火災 約1万2500件都市ガス供給停止 全体の復旧は来週早々目指す 山口・宇部

「弁解の余地はない」山上徹也被告 遺族に初謝罪 安倍元総理銃撃事件の裁判「安倍元総理が殺害されなければならなかったのは間違いだったと思っている」

【速報】都内の季節性インフル 今季初めて減少に転じる 祝日で医療機関の休業も影響か 感染者数は依然として「警報」レベル 引き続き感染対策を

「定数削減」と「企業献金規制」めぐり与野党駆け引き激化 後半国会“最大の焦点” 野党側「企業献金規制」優先すべきと主張 2つの改革進むのか?





