シリーズ「現場から、」。アメリカは今年1年、歴史的な物価高に直面しました。インフレの影響で内容量が減っているのに、価格を変えていない商品までが出回っています。
東部マサチューセッツ州。先週、ある男性を訪ねました。
エドガー・ドウォスキーさん。
エドガーさん
「出発する前に広告を確認してきた」
向かった先は、近所のスーパーでした。10分後、買い物袋に入っていたのは大手メーカーのアイスクリーム。同じ商品を2つ購入していました。
エドガーさん
「2つの商品が一緒に売られていたのは驚いた。両方同じ価格だった」
普段持ち歩いているクーラーボックスにアイスを入れると、すぐに自宅に。
早速、2つを比べ始めました。
エドガーさん
「左側がこれまでの商品、右側が新しい商品」
価格は同じで表紙もほとんど変わりませんが、右側のほうが少し小さく見えます。内容量をよく見てみると、新しい商品は60グラム少なくなっていました。
エドガーさん
「このサイズのアイスの内容量が変わるのは、少なくともこの10年間で初めてだ」
実はエドガーさん、価格を変えずに内容量が減った商品を見つけ出し、ネット上に公開する市場調査員です。消費者からメールで情報提供を受け、スーパーなどを調査していますが、ことしに入りメールの数は2倍に増えたと話します。
エドガーさん
「インフレを理由に多くの企業が商品価格が上昇する危機を感じ、消費者に負担を転嫁する方法を探している」
こうした動きは「縮む」という意味の「シュリンク」と、「インフレーション」を合わせて「シュリンクフレーション」と呼ばれます。実質的な値上げですが、気が付きにくいため、知らず知らずのうちに消費者の負担に繋がっているのです。
記者
「この1年で内容量が減ったり、原材料が変わった商品は、エドガーさんが調べただけでもこれだけあります」
トイレットペーパーは1ロールあたりのサイズが縮小。このアイスは内容量が2度、少なくなりました。
さらに、内容量も変えない新たな商品も…。
このマーガリン、価格も内容量も変わりませんが、主な原材料である植物性油脂の割合を減らしていました。
アメリカでは原材料を減らしたり、安いものに変更する動きも出始めていて、「ケチる」という意味の「スキンプ」を使い「スキンプフレーション」と呼ばれる新たな現象も広がっています。
エドガーさん
「人々は敏感になっているが、実際に気が付くのはとても難しい。今後もシュリンクフレーションやスキンプフレーションは終わらないだろう」
日本時間の昨夜に発表された最新のアメリカの消費者物価の伸び率は7.1%。5か月連続で縮小したものの、ことし1年、7%を超える歴史的なインフレが続きました。
「依然としてインフレは高過ぎる」とバイデン大統領自身も認める中、家計への負担は来年も続くことになります。
注目の記事
外免切替が厳格化「問題が難しくなった」外国人から戸惑いの声も 住民票の提出義務化、試験内容も大幅見直し

和式トイレの水洗レバー「手で押す」?「足で踏む」? 街頭取材では拮抗…それぞれの主張は 正しいのはどっち?

【台風情報】台風23号 九州・沖縄に接近へ 東日本にも影響か【雨風シミュレーション9日(木)~14日(火)/ 全国の週間予報】台風23号気象庁進路予想 台風情報2025

コーヒー豆を運ぶトラックで「息子は天国に行った」夢を絶たれた29歳のバリスタ 遺志を継いだのは母だった 【人をつなぐコーヒー・前編】

“セクハラ” に揺れる南城市 市議会解散は古謝市長の正当な権限か、乱用か…市議選に2000万円超は税金の無駄? 専門家が語る「制度の想定外」

「いまでも5日は苦手」事件と向き合い続けた父親 娘のストラップはいまも… 20年以上続けたブログにも幕を下ろし 廿日市女子高生殺人事件から21年

