長崎で被爆した人を親に持つ『被爆二世』が「放射線の遺伝的影響が否定できないのに二世への援護を怠っているのは違法だ」として、国に対して損害賠償を求めた裁判で、長崎地裁は12日、原告の訴えを棄却する判決を言い渡しました。
■ “遺伝的影響は否定できない”──と言うに留まる

訴えを起こしているのは、長崎原爆の被爆者を親に持つ被爆ニ世ら28人です。

“原爆放射線による遺伝的影響が否定できない”のに『国は被爆二世への援護を怠ってきた』として、1人あたり10万円の損害賠償を求めています。


12日の判決言い渡しで長崎地裁の天川 博義裁判長は、放射線の遺伝的影響について「“可能性を否定できない”と言うに留まる」としました。

その上で被爆二世の援護については「立法府の裁量的判断に委ねられて」おり「被爆者と認めていないことは差別的取り扱いには当たらない」として、原告の請求を棄却しました。
■ “立法府の裁量的判断”「判断を避け不十分」

被爆二世訴訟弁護告団長・在間 秀和弁護士:
「最悪とは言えないまでも極めて不十分」

この判決について原告弁護団は「放射線被害の遺伝的影響の可能性を認めた」もので「国の対応の誤りが指摘された」と評価する一方、遺伝的影響が否定できないことについて明確な評価がなく、国の対応の問題に言及していないことは「決定的に不十分」として抗議しています。

原告弁護団 中鋪 美香 弁護士:
「遺伝的影響の可能性があると言うにとどまるという表現の仕方をして、そこについての明言、評価をしていないのが非常に残念」

原告(抗がん剤治療中)丸尾 育朗 さん(75):
「結局は裁判所が判断を避けた。被爆の影響はあるということでずっと戦ってきた。そこだけは今後も訴えていきたい」

被爆二世を巡っては、同様の裁判が広島地裁でも提訴されており、2023年2月7日に判決が言い渡される予定です。