反撃能力の保有などを盛り込んだ「国家安全保障戦略」を含む、安全保障関連3文書の改定をめぐり、自民・公明両党が合意に達しました。戦後の安全保障政策の大きな転換となります。

自民党 小野寺五典 安保調査会長
「私たちは戦争を防ぐためにしっかり抑止力を高めるために、この3文書を活用し、安全保障の力を高めていきたい」

自民・公明の両党の実務者は12日の夕方、15回目となる会合を開き、安全保障関連3文書について合意しました。

国家安全保障戦略には「日本は、戦後、最も厳しい安全保障環境のもとに置かれている」として、防衛力の抜本的な強化を掲げていて、相手のミサイル発射拠点を叩く反撃能力の保有やサイバー攻撃を未然に防ぐための「能動的サイバー防御」の導入などが盛り込まれています。

また、中国の動向については「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記し、現在の「懸念」よりも表現を強めています。

一方、国家安全保障戦略の下位の文書にあたる「国家防衛戦略」については、自民党がさらに強い「脅威」という表現を盛り込むよう求め、政府の骨子案には中国が8月に日本の排他的経済水域内に弾道ミサイルを着弾させたことについて「我が国及び地域住民に脅威と受け止められた」と記されていました。

しかし、公明党が隣国である中国への外交的配慮の必要性を主張したため、最終的に「我が国」という文言を削除し、「地域住民に脅威と受け止められた」と記すことで決着しました。

政府は合意された3文書について16日にも閣議決定する方針です。