「野菜の生産者」から「消費者」までをつなぐ新たな取り組みです。
集荷場所と小売店などを「停留所」に見立て、そこを巡回する「やさいバス」の運行が、三豊市を拠点に始まりました。

近くに畑のある生産者が、採れたてのレタスを持ってきました。

午前8時、三豊市の農場の駐車場です。この場所に決まった時間に訪れるといいます。
(記者)
「バス停に、生産者が野菜を持ってくる?」


(野菜の生産者)
「そうですね。そういうシステムです。持ってきた野菜を、あの車、あれが持って行ってくれる」

軽トラックには、「やさいバス」の文字。三豊市を拠点に始まった「やさいバス香川」の運行です。

農作物の集荷拠点をバス停に見立て、決まった時間に冷蔵車でおとずれて野菜を集めていきます。
(生産者)
「注文を受けて出荷する、というパターンが今までなかったので、農家としては一番助かります。それが」
静岡県の企業が全国で運行しているやさいバスです。

バスの運転手をしている滝沢さんも、三豊市でベビーリーフなどを作る野菜の生産者です。

(やさいバス香川 滝沢賢司さん)
「圧倒的に物流費が、やさいバスを使えば大きく抑えられるという点ですね。自分の商品と他に農家の野菜も持っていけるから、これいいなと思ってやさいバスをやり始めた」

次のバス停は、道路沿いにある家具店の駐車場。ここにはすでに野菜がおいてありました。この野菜はすべて「やさいバス香川」が買い取ります。
(記者)
「どうやって注文とってるんですか?」

(滝沢さん)
「これは携帯、スマホで注文ですね。みなさんスマホにやさいバスから注文が行って」

「やさいバス香川」は、小売店などからスマートフォンで注文を集めます。生産者は発注を受けると収穫して価格を決め、近くのバス停まで運びます。
すると、やさいバスが手数料15%ですべて買い取り、小売店などへ運んでくれるのです。

(滝沢さん)
「ネットの中で商品を買いながら、物流の手配もしてくれるというまさに物流DXを静岡の会社の『やさいバス』が最先端としてやってくれてるという」

現在バス停は5か所、約30の生産者が参加しています。全て買い取りのため生産者は売れ残りもなく、遠くまで輸送する必要もないので経費削減につながります。

(野菜の生産者)
「全部買い取りでしょう。普通の産直販売所などは、売れ残ったら引き取ってこなければいけない。わざわざ遠いところまでもっていくのと近くで終わるのとは全然違います」

バス停をまわって集荷が終わると、観音寺市内のスーパーへ。朝収穫した野菜がその日のうちに店頭に並びます。
「やさいバスの終着点ですね」

利益をのせて販売されるため、少し割高になることもありますが、「新鮮さが好評」だといいます。今後、飲食店なども「バス停」に加われば新たな販路になると期待されます。

(やさいバス香川 滝沢賢司さん)
「新規参入する農家が、こういう販路があるのなら、農業やってみてもいいかなと、日本の農家全体が潤うのではないかなと。農業のあり方が一番かわるのではないかなと」

コストを最小限にして生産者の利益を最大に。新たな物流の形を生み出したやさいバスです。