竜巻被害で甚大な被害を受けた静岡県牧之原市への自衛隊派遣要請をめぐり、県が当初、自衛隊側が見送りを判断したと説明していたものの、その後、県が派遣要請を見送ったことが判明した問題で、県議から批判が相次ぎました。
牧之原市の杉本基久雄市長は9月7日、被災地を視察した鈴木康友知事に対し「災害廃棄物の除去」「入浴支援」「給食支援」に関して、自衛隊の派遣要請を要求していました。
しかし、自衛隊の派遣要請は行われず、理由について鈴木知事は、9月30日の記者会見で「災害派遣の要件を満たしていないことから自衛隊側が見送りを判断した」と説明し、県議会にも同様の説明がされていました。
その後10月3日、自衛隊と協議のうえで、県が派遣要請を見送ったことが判明しました。
10月8日に臨時で開かれた県議会危機管理くらし環境委員会で、県は「自衛隊の災害派遣に関する訓令第17条」に基づき、派遣要請に先立って自衛隊と事前調整を行ったところ、自衛隊から「本事案については非代替性に欠ける」との見解が示され、県も同様の意見を述べていたと説明しました。
結果的に、自衛隊から「緊急性、公共性、非代替性の3要件には合致せず派遣できない」という回答が示され、県としても、その内容に同意し派遣要請を見送ったということです。
委員会で県議からは「自衛隊と話がついたとしても、それを県民に説明しなければいけない立場であることを自覚すべき」「住民の理解が得られるような危機管理を構築してほしい」などと批判が相次ぎました。
委員長は「自衛隊との事前調整内容が職員間で情報共有がされておらず、委員会で誤った答弁がなされ、県民に不信感を与えたことは大変遺憾。今回のようなことが2度とないよう、再発防止を図るとともに、県庁組織内での情報共有のさらなる徹底を申し入れる」と述べました。
県は今後、事前調整の段階から、自衛隊とのやりとりの詳細を組織内でリアルタイムで共有することで、より正確な判断を行う体制を確立するとしています。