アサヒグループのシステム障害によるビールの出荷停止。この週末で在庫が切れる…という店が相次いでいます。
ビールファンが集う老舗のビヤホール。アサヒビールとのつきあいは、師匠の代から数えて76年。名物マイスターのきめ細かい泡が評判です。ただ、寄せられるのはシステム障害による品切れを心配する声です。
「飲めなくなったら悲しい。欠かせない存在。仕事終わりはアサヒ」
店のメインはアサヒの「マルエフ」という銘柄。「スーパードライ」より生産量が少なく、この週末で在庫切れになりそうです。
仕入先の酒店からもこんなLINEが…
「アサヒ商品が無くなり次第、キリン、サッポロ商品に切り替える運びになります…」
ただ…
ビアライゼ'98 松尾光平オーナー
「アサヒとサッポロは(規格が)同じですから、樽さえ持って来てくれれば、つながる。キリンを扱う場合はキリンのヘッドを酒店に持ってきてもらわないと使えない」
アサヒのビール樽とキリンの樽には接続部に互換性がなく、切り替えも簡単ではありません。
先月29日に発覚したサイバー攻撃。出荷と受注のシステムがとまり、多くの工場で生産停止に追い込まれました。
『生ビールは“鮮度が命”』と打ち出してきたアサヒ。在庫を他社より抱えない分、影響は大きくなっています。
佐々木酒店 佐々木実 社長(おととい)
「アサヒの樽生ビール。非常時の真っただ中なので、(在庫は)非常に少ない」
苦肉の策でアサヒは紙とファックスによる注文を受け付けました。きょうから一部で出荷が始まり、店にも届く予定でしたが…
佐々木酒店 佐々木実 社長
「いつ(アサヒの商品が)入ってくるのかわからない。混乱が混乱に拍車をかけてる」
混乱は拡大しています。
記者
「こちらの店舗では、欠品を知らせる張り紙が出ています」
コンビニでは、アサヒと共同開発したプライベートブランド商品の入荷が滞っていて、代替品の確保を進めているといいます。
サイバー攻撃による事業の停止は、▼メガネのレンズなどで知られるHOYAや、▼出版大手のKADOKAWAなどで相次いでいます。
背景には統合的な基幹システムの普及があると専門家は指摘します。
神戸大学 森井昌克 名誉教授
「1か所が(攻撃を)受けただけで、全部に対して影響を及ぼして、非常に大きな被害になってしまう。どのように復旧していくのか、しっかり考えて運用をとるべき」
アサヒはシステム復旧のメドは立っていないとしています。
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