2025年は昭和元年から数えて100年目。時代を超えて愛され続ける名店の味を紹介します。
今回は、静岡市清水区で戦後から続く鮮魚店です。新鮮な魚を使ったアイデア満載の総菜が評判です。
静岡市清水区興津清見寺町の旧東海道沿いにある魚格出口鮮魚店です。店には新鮮な刺し身のほか店内で調理されたフライやコロッケ、サバの煮つけなど食卓を彩る惣菜が並びます。
<客>
「お寿司がおいしいの。毎日来てる」
「魚もおいしいしね」
<客>
「ここはね大好き。いいお店だから。(お)造りなんかも最高だよ」
店主の出口強志さん(56)。
<3代目 出口強志さん>
「うちの特徴は白身ですかね。お刺身の方は。僕が白身が好きなもんで、他の店ではないようなものを揃えたいとか、自分で食べてみておいしいじゃんと思えばお店で売るし」
この店は出口さんで3代目、創業77年になります。戦後まもなくこの場所で店を開いた魚格出口鮮魚店。当時は多くの商店が軒を連ねていました。店のすぐ前には海が広がっていました。
<客>
「岩から飛び降りてたの。泳いでね。パンツ1枚で。木綿のパンツ。水着なんかなかったから」
昭和30年代まで興津には海水浴場があり、多くの客でにぎわったそうです。海を間近に育ってきた出口さん。おいしい魚の食べ方を追求しています。
<3代目 出口強志さん>
「あじのたたきなんですけど、タマネギとショウガとイカを刻んだのを入れるんですよ。食感を出すために」
特製のショウガ醤油で味付けした、出口さんオリジナルのアジのたたきです。出口さんの魚への探求心は2代目の父親から受け継がれたものです。
出口さんの父親、2代目の啓司さん。薫製機を自分で作るなど魚を使ったアイデア商品を数多く生み出しました。この店の看板商品揚げはんぺんを考案したのも啓司さんです。深海魚のメギスとハモを練り合わせ、独自の調味料で味付けしました。
<3代目 出口強志さん>
「変わったことしたがる人だもんで、人と同じことじゃなくて発明じゃないですけど、なにしろ魚が好きだから、ずっと魚触ってた人です」
試行錯誤を重ね1年がかりで完成した商品です。
<客>
「おいしい。また食べたくなる」
今では1日450個を売り上げる人気商品です。
先代から続く心意気を受け継いでいるのは出口さんの息子、4代目の駿弥さんです。
<4代目 出口駿弥さん>
「お父さんの仕事を見て、がんばっていこうかなと徐々に思いはじめました。欲をいえば新しいものを作ってみたい。どんどんお父さんは考えていくので、自分も期待されてるのかななんて思いながら」
<3代目 出口強志さん>
「いろいろ考えてるみたいだからね、応援するだけです」
この揚げはんぺん作りで一番こだわったのは冷めてもおいしく食べられること。揚げはんぺんは午前11時ごろに店頭に並ぶそうで、興味のある方はその時間に尋ねてみてください。