「NST 新潟総合テレビ」が、およそ11億円の所得隠しを指摘された問題。外部調査委員会が報告書をまとめ、『売り上げ1位』という過大なプレッシャーのもと、営業担当の社員が広告代理店の担当者に対し適正な事業活動の範囲を逸脱した贈り物や接待を繰り返していたと指摘しました。
【NST 酒井昌彦 社長】「一連の問題につきまして、視聴者、多くの関係者の皆様には大変なご迷惑、ご心配をおかけしており誠に申し訳ありません。改めまして、お詫び申し上げます」

関東信越国税局から去年までの6年間でおよそ11億円の所得隠しを指摘されたNST。

3日、外部の委員会がまとめた調査結果の報告書を公開し会見を開きました。
報告書で明らかになったのが、東京支社の営業部員による「適正な事業活動の範囲を逸脱した」営業活動です。

報告書によりますと、東京支社では2013年から広告代理店の担当者に対し、商品券の贈答や海外旅行の招待を行うなどして出稿金額を上乗せしてもらい、売り上げを確保していました。

また、その過程でCM制作費名目での利益供与という手法を考え、

架空のCM発注を繰り返し、営業部員が10億5000万円を管理下に置いて、広告代理店担当者への接待やキックバックに使っていたと明らかにしました。

背景については外部委員会は…
『新潟の4局における売上1位、シェア1位』が必達目標とされ、東京支社の営業担当者には大きなプレッシャーが絶えず圧し掛かっていた。売上、利益、シェアといった数字の達成に絶対的な価値が置かれ、それを達成するための手段の是非という観点が軽んじられていた」

一方、調査報告書によりますと、商品券贈答や海外旅行への招待は経営陣の了承や是認のもので行われていました。

【外部調査委員会 委員長 森本哲也 弁護士】「(経営陣の)誤った判断が本件の根本的な原因でありますが、そういった誤った判断のもとで漫然と事業が営まれていた原因の一つとして監査役が適切にその機能をはたしていなかった」

調査委員会は、誤った経営陣の判断のもとで、売り上げ獲得の手段について歯止めが効かなくなり、極めて不健全な仕組みまでもが容認されたとして、牽制機能、監督機能も完全に欠如していたと結論付けました。

NSTは去年11月、関与が認められた社員6人を懲戒処分とし、そのうち1人は懲戒解雇としました。今後再発防止と信頼回復に努めるとしています。
