戸籍上の性別の変更をめぐり、札幌家庭裁判所が法律で定めた「外観要件」を違憲と判断した審判について、9月30日、申立人の男性らが記者会見を開きました。
申立人の代理人 皆川洋美弁護士
「外科手術だけではなくて、ホルモン治療も不要であるとした点において、とても画期的な決定であった」
記者会見を開いたのは、札幌市に住むトランスジェンダー男性の司さんと、トランスジェンダー女性のAさんらです。
2人はアレルギーなどの副作用を避けるため、手術やホルモン治療なしでの戸籍上の性別変更を求めて、札幌家庭裁判所に審判を申し立てました。
性同一性障害特例法は、性別変更について5つの要件を定めていて、このうち「生殖不能要件」は、2023年に最高裁が違憲の判断を示しています。
札幌家裁は、手術やホルモン治療によって変更後の性別に近い外観を求める「外観要件」についても、治療が多様化する近年の実態との合理的な関連性を欠くとして、19日付で違憲とする決定を出しました。
トランスジェンダー男性 司さん
「(転職活動で)性別欄やスーツが記載と違って困るのではという心配が積み上がっていた。安心してこれから頑張りたい」
トランスジェンダー女性 Aさん
「逃げるような生活をしていたような気がするので、やっと逃げずに普通に生きられるような感じがして、楽しみにしています」
代理人弁護士によりますと、今回の決定は裁判所の判断基準の一つともされる「判例集」に掲載されるとして、今後、全国の家裁でも同様の判断を示す可能性があるのではないかと期待感を示しました。