静岡県は9月25日、県内で「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」と「日本紅斑熱」の患者が確認されたと発表しました。いずれも年間発生数が過去最多となっていて、県は野外でのマダニ対策を十分にするよう注意を呼びかけています。
県によりますと、今回確認されたSFTS患者は、賀茂保健所管内に住む80歳代の女性です。9月10日に発熱し、9月13日に意識がもうろうとして賀茂保健所管内の医療機関に救急搬送されました。マダニにかまれた自覚はなく、刺し口も不明でしたが、検査の結果、9月18日にSFTSと診断されました。
日本紅斑熱の患者は、神奈川県内に住む80歳代の女性です。9月10日に発熱し、9月13日に熱海保健所管内の医療機関を受診して入院。翌日に発疹が出現し、検査の結果、9月19日に日本紅斑熱と診断されました。女性は農作業をしていたことから、日本紅斑熱の病原体を保有するマダニにかまれて感染したと推定されます。9月25日現在も入院中ですが、快方に向かっているということです。
静岡県内では、SFTSが2021年に初めて確認されて以降、年間4〜8人の患者が報告されています。2025年は現時点で8人(うち死亡3人)と、過去最多となっています。
日本紅斑熱については、2020年以降、年間5〜20人の感染が確認されており、2025年は現時点で20人(うち死亡1人)と、こちらも過去最多となっています。
静岡県では、まだ暑い日が続き、秋から冬にかけてもマダニの活動が活発と予想されるため、野山や草むら、畑に入る際は、帽子やタオル、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくし、マダニ対策を十分するよう注意を呼びかけています。
※マダニが媒介する感染症とは
「SFTS」は、SFTSウイルスを保有するマダニにかまれることで感染します。マダニにかまれてから6〜14日の潜伏期間の後、発熱や消化器症状などが現れ、重症化すると死に至ることもあります。また、マダニにかまれSFTSウイルスに感染した犬や猫の体液からも感染する可能性があります。
「日本紅斑熱」は、日本紅斑熱リケッチアという病原体を保有するマダニにかまれることで感染します。潜伏期間は2〜8日で、高熱や発疹が現れます。こちらも重症化すると死亡することがあります。