静岡大学が開発した超小型衛星が9月19日、ついに宇宙空間に放出されました。静岡発の小さな衛星には、深刻な宇宙の“ある問題”を解決し、さらには壮大な未来へとつながる期待がかかっています。
<JAXA提供 油井亀美也宇宙飛行士>
「いよいよですね、緊張しながら衛星放出、その時を待っていると思うが、がんばりましょう」
9月19日金曜日の夜、静岡大学の浜松キャンパスには多くの学生や近隣の住民が集まりました。
<筑波宇宙センター>
「コマンド送信まであと少しとなりました。放出の様子を見守っていきたいと思います」
静岡大学工学部が開発した超小型衛星「STARS‐Me2(スターズ・ミーツー)」が、ISSの日本実験棟「きぼう」から宇宙空間へと静かに放出されると、会場は大きな拍手に包まれました。
<中学1年生>
「放出された瞬間はとてもうれしい気持ちになって、言葉に表せられない」
<中学1年生>
「宇宙飛行士を目指していたが、こういうことで宇宙にかかわるのもいいのでは」
<静岡大学 松崎優作 運用リーダー>
「実際にISSからSTARS-Me2が放出される瞬間を確認でき、大変感慨深く思っております」
縦、横、高さ、約10cmのこの超小型衛星には、壮大な実験の使命が託されています。衛星の中には「テザー」と呼ばれる金属製のロープが入っており、深刻化している「宇宙デブリ」の解消が期待されています。
<静岡大学 能見公博教授>
「宇宙空間でテザーをコントロールすることで宇宙のごみを除去する」
「宇宙デブリ」とは、運用を終えた人工衛星やロケットの部品など、宇宙を漂う「ごみ」のことで、1億個以上になるともいわれています。今回の実験では、衛星から「テザー」を伸ばし、大気圏へ落下させると厳しい熱にさらされ燃えるため、宇宙ゴミになるのを防ぐことができます。
<能見教授>
「テザーを伸ばすと空気抵抗が発生して、大気圏突入して燃え尽きる。起動寿命が終わった人工衛星に付けておけば、宇宙デブリを発生させない」
今回は衛星のカメラで実験の様子を撮影し、全世界へ配信する予定です。さらに、この技術は将来、「テザー」を使って荷物を運ぶ「宇宙エレベーター」にも応用できるといいます。
<松崎運用リーダー>
「実証できるかどうかに関しては回答するのは難しいが段階的に研究が進んでいくことによって将来的に『宇宙エレベーター』が実現されるのではないかと思います」
注目の実験は、約1年をかけて実用化できるか確認していくということです。