近年、国内で人気が上がる「パプリカ」を大規模に生産する農場が静岡県磐田市にあります。最先端の農場を運営するのは、証券会社グループ。日本の「パプリカ王」を狙う新たな農業経営の仕組みとは?
静岡県藤枝市にあるカフェレストラン。料理に華やかさと彩りを加える食材が「パプリカ」です。
<クレアファーム 町田通シェフ>
「前菜に持ってきたりするので、色のバリエーションが作れたりしますし」
そのまま生野菜として食べるのはもちろん、加工することでムースのような料理に変身することも。このパプリカ、国内で流通する9割は輸入品。町田シェフは国産が増えることを期待しています。
<町田シェフ>
「今まではずっと輸入ものだったので水分量が欠けていたが、国産だと本当にみずみずしいおいしいパプリカが手に入るので」
人気のパプリカを手掛け、日本の農業を変える可能性を秘めた農場が磐田市にあります。「スマートアグリカルチャー磐田」では2つの巨大なハウスで年間500トンの「プリンセスパプリカ」を栽培しています。
<スマートアグリカルチャー磐田 上村翔農場長>
「水のやり方も1本ずつ、ここが水が出る管なんですが、日の光に応じて植物は水を吸いますので、日の光をセンサーで測って日の光が多ければたくさんの水が出る、そういう自動制御を行っています」
最新の技術を取り入れた農場では温度や湿度、日光の量などをデータ化し、誰でもできる効率的な農業の実現を目指しています。運営するのは大和証券グループの「大和フード&アグリ」という会社。証券会社が農業に参入し、すでにパプリカ栽培で国内シェアの2割を占めるまでに成長しています。
<上村農場長>
「投資が必要な農業に我々はビジネスチャンスがあると思っている。投資をたくさんするけど、その代わりリターンがたくさんある農業を選んだ」
このハウスなどは他社が使っていたものを大和証券グループが買収しました。そもそも単価が高く国産は値崩れが少ないというパプリカの長所を生かし、この農場では販売方法を含め効率的でもうかる農業という新たなビジネスモデルを構築しているのです。
この取り組みには海外からも熱い視線が。農業大国オランダからの視察団は金融と農業の組み合わせに興味を示しています。
<オランダからの視察団>
「日本では新しい取り組みで大変魅力的に感じています」
磐田で実践されているパプリカの生産自体を投資の対象にすることで、国内外からマネーを集め農業の活性化を図ることも視野に入れています。
<大和フード&グリ 久枝和昇社長>
「最終的には金融ビジネスを作っていきたいと考えているため参入してきた。ファンドをつくる、今すぐは難しいが金融ビジネスを作っていく」
着実に結果を出している証券会社グループの新たな挑戦。硬直した国内の農業を一変させることができるのか、注目が集まります。