2025年は昭和元年から数えて100年目。時代を超えて愛され続ける名店の味を紹介します。今回は静岡市にある中華料理店。元気な店主が作る創業から続く味が人気です。

静岡市葵区東千代田にある「豚香」。創業は1983年(昭和58年)。豚肉を使った定番メニューから本格的な中華料理まで幅広いメニューが評判です。

<客>
Q. 何を食べているんですか?
「豚香メンです」
Q. 味はいかがですか?
「ピリっと辛くておいしいですね」

「豚香メン」は、醤油ベースのラーメンに肉野菜炒め、そして、豆板醤をのせています。創業当時からのレシピを守り続けています。

<増田正樹さん(62)>
「43年前(1983年)は世の中が辛いものブームだった。店の名前が入ったラーメンを一品メニューに加えようと家族で話した時に辛いラーメンにしようとなった」

開店したとき、増田さんは20歳でした。父、正己さんのもとで中華料理の修業を始めました。

<増田さん>
「それこそ包丁もまともに握ったことがなかった。とにかく自分の背中を見て盗めと。そんな感じで始まった。うちの父がよく口癖のように言うのが『料理人は食べるのが仕事』と言っていた」

そこで増田さんは仕入れを兼ねて横浜の中華街へ足を運び本場の味を研究しました。

<増田さん>
「その数が増えることによって自然と色々なもののアイデアが降ってくる」

中華街の食べ歩きをきっかけに始めたのが「豚足メン」です。豚足をほぐしてたれをからませて食べるのが増田さんのおすすめです。

チャーハンにも増田さんのアイデアが生きています。3時間煮込んだ焼き豚で炒めたごはんに味を付け、豚の角煮をのせます。

<増田さん>
「角煮は父の料理なんです。私の中では父から引き継いだメニューの一品です」

「角煮チャーハン」は豚香で注文の多い料理のひとつです。

<客>
「チャーハン食べたくなったらここに来る」
Q. それはなぜ?
「チャーハンがおいしいのと店長の人柄。すごく気さくにいらっしゃいませって言ってくれるので来やすいですよね」

<客>
「ごちそう様でした」

<増田さん>
「どうもありがとうございました。お気をつけて。またお待ちしてます」

<増田さん>
「もう僕も還暦になりあちこちガタが来ているので自分にはっぱをかけないと老いがお客さんに伝わってしまうので老いを隠すように一生懸命です」

あと7年で70歳、そして「豚香」は50年目を迎えます。それまで元気な店主を貫きます。

<増田さん>
「こんな時代にまだこのおじさんこんなことやってんのって笑ってもらえるような昭和のアナログ人間でありたい」

【お店情報】
・「豚香」
・営業時間:昼11:00~14:00、夜17:00~21:00
・休み:水曜日
・住所:静岡市葵区東千代田2-1-10