再審で無罪が確定した袴田巌さんの弁護団は2025年9月11日、検事総長の談話が袴田さんの名誉を傷つけたとして、国に損害賠償を求める訴えを起こしました。
捜査の違法性をめぐる別の国家賠償請求の提訴は10月9日にも行う方針です。
<社会部 鈴木文之記者>
「袴田さんの弁護団が姿をみせました。提訴のため静岡地裁に入ります」
袴田巌さんは1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で一度は死刑が確定しましたが、再審=やり直しの裁判で2024年9月に無罪判決が言い渡されました。
しかし、検察側は控訴断念時に畝本直美検事総長の談話で、「5点の衣類」を捜査機関の捏造と断じたことには強い不満を抱かざるを得ない、本判決は到底承服できず、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容、などと主張していました。
<代理人の小川秀世弁護士>
「(検事総長談話で)自分たちは有罪を立証できると公に明らかにして、それは袴田さんに対する非常に名誉棄損以上に許されない。無罪判決をした裁判所に対しても侮辱、冒とくの性質のもの」
弁護団は検事総長の談話は再審無罪判決を非難し、袴田さんの名誉を毀損していると指摘。慰謝料500万円に加え、最高検のホームページに謝罪文の掲載などを求めました。
袴田さんの姉、ひで子さんは次のように話しました。
<袴田ひで子さん>
「検事総長さんがああいう言い方をしたのは、個人的には職業柄ああ言わざるを得なかったと思っている」
さらに弁護団は、違法な捜査が行われたなどとして、10月9日にも県や国を相手取り、別の国家賠償請求の訴訟を起こす方針です。