岩手県は陸前高田市で自治体などの担当者を対象に、電気を使わず緊急的に「農業用ため池」の水位を下げる研修会を開きました。
大雨などによってため池が決壊するのを未然に防ぐ取り組みです。

この研修会は農業用ため池の決壊による被害を未然に防止しようと、県ため池サポートセンターが去年から行っているものです。
11日は県の担当者や地元のため池管理者など18人が参加し、サポートセンターの担当者から常にため池の状態を管理し、決壊につながる危険性のある流木やごみの流入を防ぐなどの説明を受けました。

講習のあとは陸前高田市小友町の小崎ため池に移動し、緊急的にため池の水位を下げる方法として水位差を利用する「サイホンの原理」を活用した放水方法を実演しました。

「サイホンの原理」は、ため池とため池より低い放水場所をつないだホースのつなぎ目から水を入れて空気をなくすことで、電機などの動力を使うことなく放水することができます。
装置の設置が簡易的で故障が少ないなど多くのメリットがあり、緊急時の対策として推奨されている方法です。

(岩手県農村建設課 水利整備・管理担当 川崎良明特命課長)
「実際災害が起きた際にですね。亀裂が提体に入った時などに水を低下させることによって、二次被害的なものを阻止することができますので、そのような際に活用していただきたい」
県内には4月時点で2546カ所の農業用ため池があり、そのうち693カ所で決壊すると下流の住宅などに被害が及ぶ可能性があるとされています。
県は今後、北上市でも研修会を行い、被害防止に力を入れていきます。